コラム

2020.05.01

Vol.04 「都市の公共空間はリビングルームになる?」

都市の公共空間はリビングルームになる?

東京は緑多い都市です。緑地の大半は大名屋敷跡等です。江戸時代、辻札が立つ橋の袂や寺の境内が人の集まる場で、縁台で寛ぐ風景も道で、広場はありませんでした。

現代でも江戸の都市の形を引継つぐように、東京の一人当たりの公園面積は5.31㎡注1で、ロンドンの26.9㎡、ニューヨークの18.6㎡そしてパリの11.6㎡注2と比較すると少ないです。

都心の塔状住居に住んだ建築家東隆光が1983年に上梓した「居間は公園だ」の中で、彼は「密度の高い都市で暮らしていこうという要求に、いかに答えるかという意識が少々かけていた。」更に「居間が社交の場ならば公園であってもかまわない」と言っています。

現代の通信機器を中心に個人化した都市住宅に住む私達には、彼の言う「公園」の社交の場としての寛ぎの空間は重要だと思います。

都市公園は細かく目的別に整備されていますが、自由に利用できる緑地が必要です。ソーシャルではなく、フィジカルディスタンシングが叫ばれるこの時期ですが、人と共に寛げる自然に近い緑地の有難さを感じています。

注釈

注1:2019年東京都資料、注2:2012年国土交通省「諸外国における公園の現況」

記:寺山 実


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