舟宿水楼
- 柳橋における船宿の構法を応用した舟運一体型ホテルの設計 -

氏名
中尾 直暉
所属
早稲田大学大学院
創造理工学研究科 建築学専攻
研究室
吉村靖孝研究室
作品概要

神田川と隅田川が合流する位置に柳橋という場所がある。かつての柳橋にあった料亭街では、隅田川を眺めながら料亭遊びや舟遊びが行われており、料亭と舟宿が連携して豊かな水文化を形成していた。しかし、鉛直堤防の建設を境に料亭街はマンション街へと姿を変えた。舟宿はバブル期に流行した屋形船の運営を今でも続けているが、大人数貸し切りの娯楽スタイルは需要が低下し続けており、水文化の消滅が危惧される。
そこで、堤防によって分断された陸域と水域を再び結び付ける手法を探るため、柳橋の堤防沿いに残る舟宿を調査した。舟宿の歴史的変遷を整理し、現在の舟宿を観察して3つの舟宿構法を抽出した。そして、舟宿構法を応用して、最後の料亭亀清楼が入る水辺のマンションに半分をホテルへ改修した「舟宿水楼」を設計した。それに加えて、料亭や屋形船を機能分化・小舟群化して集合分散可能にした「料艇街」を設計した。舟宿水楼の積層する川床と、料艇街の連なる甲板は地域に開放されており、ホテルのオフシーズンでも水辺に賑わいを生む。舟宿水楼は、小舟群による柔軟な舟運のネットワークによって東京中の防災船着き場や既存の船宿、屋形船と結びつけられる。それによって土木・建築・舟運が一体となって陸域と水域を縫合し、新旧の水文化が混在する、都市の豊かな水辺の景観をつくる。

作品イメージ

作品ファイル

Profile

  • 略歴
    1997年
    長崎県佐世保市出身
    2016年
    長崎県立佐世保北高等学校 卒業
    2020年
    早稲田大学 創造理工学部 建築学科 卒業
    2022年
    早稲田大学 創造理工学術院 創造理工学研究科 建築学専攻 卒業

一覧へ戻る