わたしたちは、いつも、いつまでも
清瀬、東京療養所の100年と未来

氏名
今中 真緒
所属
東京藝術大学大学院
美術研究科 建築専攻
研究室
建築設計第3研究室(樫村芙実研究室)
作品概要

死ぬとか生きるとか、怪我をする、病気をすることは常に私たちの生活の根本で、隣り合わせなものである。しかしながら私たちは健康なとき、それらについて深く考えることは少ない。
それが今回、2年間にわたりCovid-19が猛威を振るったことで、私たちはその当たり前の事柄が当たり前では無いことを強く意識するようになった。感染の不安は行動制限だけでなく精神も危うくしていく。その中で、「私たちの体はとても不安定で、互いや自身を思いやりケアをしていく中で保たれている」ものだと、さまざまに知ることになったのでは無いだろうか。
私自身は今年の冬、脱臼骨折に伴う手術、入院の経験をして如実にこのことを思い知った。そして、私の住まう地域、入院した病院のある清瀬という土地を改めて調べて、敷地に大きく占める病院の背景、結核療養所の歴史を知った。広大な自然と深い歴史を有しながら、外と隔絶された大病院をもし建築的操作で開くことができたら、より日常的なわたしたちのやわらかい「ケアの場」を提案することができるかもしれない。
ここでこの清瀬という敷地に着目して、療養所を引き継ぐ閉鎖的な大病院と内包された豊かな緑地、そして隣り合う住宅街の関係性をつぶさに観察しながら、この場に住み、働き、生きる私たちアクターのこれからのケアのあり方を考えていく。

作品イメージ

作品ファイル

Profile

  • 1997年東京都生まれ。2020年東京藝術大学美術学部建築科卒業後、同大学大学院建築専攻へ進学、樫村芙実准教授に師事。
    2020年の卒業制作「-80センチに眠るまち」が藝大建築科の匠美賞受賞、また近代建築社「卒業制作2020」に優秀作品として掲載。
    樫村研究室では、ウガンダとの共同設計プロジェクトを行いつつ、かねてから興味のあった本修士研究に取り組む。

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