コラム

2020.05.14

Vol.15 「割り切りと切り捨て」 

様々な要望や思いを抱いて取組む住まいづくり、制約があるのも現実です。それは予算であったり敷地条件などですが都市部の住宅では特に「広さ」に圧倒的に支配されているように思います。結果として割り切りと切り捨て、言い変えると納得と諦めが生じます。設計する立場からすると考え方や暮らし方の工夫や見直しで諦めでなく納得を模索し建て主の暮らしを反映した住まいを目指します。家族の触れ合う時間を重視し出来るだけ共有するスペースをとる結果、個室に皺寄せが生じて寝るだけの部屋になる。ストックは絞り周辺の商業施設に頼ってしまう。室内空間を最大限求めるあまり生活に潤いをもたらす外部空間「庭」がおろそかになる。通勤や子供の教育、都市インフラの充実などから狭くても都市に居住することを指向してきた結果、平時では甘んじて受入れられてきた事柄も新型コロナウイルスの問題を機に今迄の割り切りと切り捨てでよかったのか、再考する好機と思っています。

記:郡山 毅


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コロナウイルスで暮らしと住まいは変わる!?
世界中を襲った新型コロナウイルスという大災害の中でのすごし方、そしてその後の暮らしや住まい、環境に対する意識や価値観は変わるのでしょうか。 住宅部会の 建築家達がリレー形式で、それぞれの視点で語ります。

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