第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

弔い空間の研究

- 特殊性と普遍性の視点による建築空間の再考 -
氏名
近藤亘
所属
東洋大学大学院
ライフデザイン学研究科
人間環境デザイン専攻
研究室
櫻井義夫研究室
作品概要

実際に葬儀に参加した際に葬儀自体が形式的に進められていくことに強く疑問を抱いた。この形骸化は今ある葬儀自体が宗教により発達したにもかかわらず、大衆の葬儀に対する関心がコストと合理化に向かっていること、宗教に対する関心や理解が減少していることから、いつの間にか葬儀自体の意味を見失っていることが原因であると考えられる。

そこで、宗教により葬儀が発達する以前に行っていた儀式などの意味を再確認し、行為と意味の関係性を整理した。現代では馴染みがなくなってきている宗教の代わりに日本人の根底にある自然崇拝の考え方に着目し、この自然信仰対象と組み合わせて空間要素へと転用した。

自然の全てに対して敬意を払う日本人の考え方から、環境を主体として建築によりビューや動き方を操作する。現状の敷地の特徴から分かれているエリアの境界線に対して屋根をかけるように空間化し、導き出した空間要素を使用することでエリアを分ける、つなぐ、視線の誘導などの役割を担いながらそれぞれの場が文化的な意味を持つ。敷地の環境自体を空間として捉えていくことで内外の境界線が緩やかに溶けていき、建築の範囲を超えた葬儀の場となることを目指した。環境の中で、文化的な意味を持つ場で弔うことで葬儀の本来の意味を取り戻すきっかけとなることを期待する。

作品イメージ

Profile

略歴

1999年 静岡県三島市生まれ

2017年 静岡県立伊豆中央高等学校 卒業

2021年 東洋大学 ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科 卒業

2023年 同大学院 ライフデザイン学研究科 人間環境デザイン専攻 修了