第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

跡想んマソン

- トマソンの美の性質を活用した改修の可能性 -
氏名
黒木雄一朗
所属
東京都市大学大学院
総合理工学研究科 建築・都市専攻
研究室
福島研究室
作品概要

どのようにして、既存の建築を利活用するか。これは環境保護の観点や、歴史を破壊せずに保存するという価値観の変化から、現代において注目されていることである。本研究は、街中で見かける「トマソン」という存在に着目し、フィールドワークを通して考察した。そして、トマソンの美の性質を活用した改修の可能性を探る。
なぜ我々はトマソンに惹かれるのか。トマソンの美の根源は、「機能の微変換」にある。本来の機能は失っているが、それ自体には別の機能が加わっているのではないかと思わせるような、矛盾が共存することによる、心地よい緊張感から生まれると考える。つまり、形態と機能を少しだけズラすことで、改修設計に援用した際、痕跡を美しく保存することができるのではないか。それは、日常的に歴史を体感できるものとなるだろう。また、建築の要素が慣習とは少しだけ異なる働きをすることで、発見的に変化しいくような空間となる。
そして、分析から類型化されたトマソンの構成パターンを利用し、ケーススタディとして三軒茶屋十一番街商店会で設計をする。これは、点的な改修ではなく、街区全体の改修を行い地域資源の活性化をも目指す。
最後に、私が設計した空間が転用されたとき、機能を変化させたトマソンの空間は、さらに機能を変化させ、創造とは異なる使われ方をするだろう。これは、想像と痕跡を未来に渡すような改修方法の提案である

作品イメージ

Profile

略歴

1997年 千葉県 生まれ

2021年 東京都市大学 工学部 建築学科 卒業

2023年 東京都市大学大学院 総合理工学研究科 建築・都市専攻 修了