近年、大規模再開発やチェーン店進出により既存商店の立ち退きが生じると共に、駅前空間の均質化が進行し、町の個性が失われつつある。それに伴い商店街から居職がなくなり、商店街に人が住まないことにより町の活気が失われている。こうした状況を踏まえ、本計画では、現在の商店街を見直すことで現代に相応しい居職のあり方を考察すると共に、これらを用いた<居職型商店街>の設計と、既存商店街の存続の方法について提案する。<居職型商店街>は、現代の多様な居職スタイルをもつ商店主が集うことで形成されるものとする。ここでは、指導者である<メンター商店>と、短期滞在を想定した師事者である<キャンパー商店>がグループとなり商店街を形成することで、商店街全体が新人商店主の学び場としても機能する。例えば、メンターがパン屋の建物には、コーヒー専門店を目指すキャンパーが隣に住み込み共同で商品を提供しあう、あるいはパン屋見習いが修行のために住み込むなど、両者による緩やかな協力関係が想定される。このような協力、あるいは競合関係が発生する商店街には、自然と活気が生じることが期待できる。<居職型商店街>は、人が住み着く賑やかな商店街を復活させると共に、商いを志す若者に経験を積ませることができる。さらに、これら若者が商店街を継承することに留まらず、各地の商店街で商い地域に貢献していくことを可能にすると考える。