持続的な山岳環境保全にむけたボランティアビルドによる山小屋の提案

氏名
森本 玄
所属
東京工業大学大学院
環境・社会理工学院 建築学系
研究室
安田研究室
作品概要

本計画では、八ヶ岳連峰をケーススタディとし、持続的な山岳環境保全のあり方を踏まえた、ボランティアにより実践される建設システムの構築と、それにより建設される山小屋を提案する。

現状の自然公園制度は管理運営体制に課題があり、山小屋は慣習的に環境整備の多くを自主的に請負っているが、山小屋に対する支援は十分とはいえない。山岳環境の保全・利用を維持するためには、登山客をはじめとしたボランティア参加を想定した共助的な取り組みが必要である。

ここでは、コンパクトで軽量な資材の利用を想定した構工法の提案と、既存の山小屋のネットワークを活かした資材の供給システムの整備により、建設活動が再生産される環境を整える。

性格の異なる3つの敷地を選定し、地盤やアクセシビリティの観察から、敷地に適した比重の資材利用や整地方法を選択した。建材として転用可能なアルミパイプによる背負子や、間伐材から構造体が構築され、土や石など現地の資材を利用した工法により自然環境負荷を低減させつつ、簡易的な加工・施工を想定しボランティアの参入を可能にしている。

資材や構法、生産流通のシステムが、既存の建設産業における局所最適な状態から脱し、ある社会の範囲では別のかたちで合理化される可能性があることを提示することで、建設のエコシステムが様々なかたちで存在可能であることを示すことに、本計画のひとつの意義があると考える。

作品イメージ

作品ファイル

Profile

  • 略歴
    1996年
    東京都生まれ
    2019年
    東京工業大学 工学部 建築学科 卒業
    2022年
    東京工業大学大学院 環境・社会理工学院 建築学系 修了

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