現在、日本は自動車の平均保有率が1世帯1台を超える車社会である。物流業界から見ても、自動車を利用した物流事業の営業収益は年々増加しており、私達の生活に大きな影響をもたらしている。
そんな中、車の長距離移動で利用される高速道路の全国平均利用台数は令和3年5月現在、1日140万台を超えている。それに伴い、高速道路内の休憩施設である各地サービスエリア（以下　SA）の利用も年々増加している。
休憩とサービスを提供する施設として設置されているSAだが、2005年の施設民営化以降、サービスを提供することに力を入れた施設へと展開をみせ、中間地点ではなく、目的地となるSAが存在している。しかし、サービスの幅を広げる工夫をしているものはあるが、多くの既存SAは、画一的な空間配列と周辺環境に対して閉鎖的な建ち方をしている。
その背景として、高速道路を利用する人々に対し、平等にサービスを提供すること、搬入などの機能効率を重視されたことなどが理由にあると考える。しかし、本来、平等なサービスと画一的な空間に関係性は無い。
そこで、周辺の地形や森、海や山など、建築と自然の関係性を意識した、空間や建ち方をすることで画一的な空間からの脱却ができると考える。また、地域住民が利用できる施設とすることで、地域外からの来訪者と地域との関係性が生まれると考える。この場を訪れた人と地域や周辺にある自然を繋げる媒体となる新たなSAを提案する。