中高層の建築においては地面と連続した地上階や、上部が開放された最上階に対して、中層階は外部との関わりが少なく内部の機能的な要請によって基準階を反復させてつくられることが多い。本設計は、中層階の空間的性質を分析し、その構成手法の可能性を検討することを通して中高層建築の新たな空間モデルを導き、集合住宅のプロジェクトの設計提案を行うものである。

はじめに、中層階の空間的性質について検討することで、3つの視点を抽出し、それらの再解釈や新たな性質をもたらす空間的操作によって、中高層建築あるいは集合住宅としての構成手法を導き整理した。

次に抽出した手法を用いた4タイプの空間モデルを考え、東京都渋谷区に敷地を設定した集合住宅の設計に応用した。それらの設計は、中層階を地上と空へと接続させたり、中層階に地面的な空間をつくり出したり、中層階の特徴を活かして中心をシェアすることで住民どうしの関係をつくったり、断面的な隙間を利用して中層階でも空への眺望や開放感が得られる、といった4つの集合住宅を設計した。

中層階の空間的性質を分析し、その構成手法の可能性を検討することを通して中高層建築の新たな空間モデルを導き、集合住宅の設計を行った。これらの設計は、外部環境と連続しながら立体的に空間が関わりあう新たな構成形式による建築の提案である。