現在、新しい建築における分節の試みとして構造体である壁、柱、家具を使い、不均質な空間をつくり出そうとしている事例が多く存在する。しかし、カーテンで分節することに関しては、昔から、ほとんど変化が見られない。カーテンの特性である透過性を活かし、人も通過することができつつ空間を分節する新しい方法はないかと考え、光のカーテンと呼ばれる" 光芒" に着目した。光がつくり出すカーテンによって、柔らかく分節を行い、分節面が揺らぐ、さらに透過性を持ち合わせることで、人が通過することができる分節をつくり出す。カーテンの要素と光芒の要素を掛け合わせることで、建築空間が多様に変化する新しい建築空間のあり方、新しい分節方法の可能性を生み出すことを目的とした。
　自然現象としてみられる光芒を明らかにし、光と湯気によって生み出される光芒の開口モデルを導き出す。それを用いて、開口の形態操作によってつくられる光芒での分節や、入浴方法の質によって光を演出し領域をつくりだした温泉施設に展開した。カーテンと同じ効果を持つ光芒によって、人々は温泉でくつろぎ、光芒を見ることで精神と肉体を癒す療養施設となった。このように、開口と光、湯気によってつくり出される光芒は、建築の分節に対して新しい試みとして発展する可能性を示した。