作品詳細

既存構成を保存した街区の再構築 

氏名
山上 仁
所属
千葉工業大学大学院 工学研究科 建築都市環境学専攻
研究室
遠藤政樹研究室

作品概要

20世紀の都市は空間が私有の対象であり、売り買いの対象であり、空間も商品であることを発見した。売りやすいハコ、高く売れるハコを優先する基準によって空間を取り巻く場所性は省略され、床だけを積層させた建物が発明された。規格化されたハコの中へ生活を埋め込んだ都市構造は、そこにある建物は空なのか埋まっているのか誰も実際には分からない構造をつくり、都市はブラックボックス化した。ハコに入る機能は場所に捉われない、コンテクストに捉われない性格ゆえにどこにでも入り込んで更新を促すが、逆説的には機能を制限した。

この提案はそんな「形態と機能の断絶」した現代都市で「集合」する意味を再考し、都市が持つ有機的な小さな成長を建築に取り込もうとしたものである。空間を作る「形式」と空間を分ける「境界」をデザインソースとしてアプローチした。機能は形態に従うトップダウン型の「計画」から形態は機能に従うボトムアップ型の「形式」を模索し、それを成立させる「境界」をリサーチした。

人間のアクティビティーが空間を構成する形式はインタラクティブに既存の文脈を読みヒューマンスケールの小さな更新の積み重ねで空間を形成していく。そして、空間をカスタマイズしていく「境界」はその場所のアクティビティーの状態を可視化させる。こうした方法論は時間軸を内包した「生きたシステム」であり、無限のデザインを展開するための有効なツールと考える。

プロフィール
山上 仁
2012年 千葉工業大学大学院 工学研究科
建築都市環境学専攻 修了

受賞歴

2010年 卒業設計「反応する建築」
第22回 千葉県建築学生賞 特別審査委員賞
第22回 千葉県建築学生賞 優秀賞
JIA全国学生卒業設計コンクール2010  千葉代表作品

2010年 第4回長谷工住まいのデザインコンペティション「下に伸びる建築」 佳作

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