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 可塑境界研究
 氏  名 佐野 哲史
 所  属 早稲田大学大学院 理工学研究科建築学専攻
 研究室 古谷誠章研究室
   
 作品概要 

本研究は、現代建築を再考する為に、近代またさらにそれ以前の建築について遡った上で近代建築を再考する必要があると考え、それらを概観することから始めている。近代建築をゴシック建築の延長上にあると捉え、ゴシック建築の対立項としてバロック建築、近代建築(CIAM)の対立項としてフーゴー・ヘーリング/ハンス・シャロウンに着目する。近代建築の対立項として導かれた二つの空間を関連付けて分析を行うことで近代建築とは異なる方法論を導くことを目的としている。
バロック建築に見られる外部空間と内部空間という二つの空間の残余として生まれている空間的ボリュームをもった壁(境界)を「可塑境界」と名付け、可塑境界という概念をハンス・シャロウンの建築の中に発見することで分析を行う。ハンス・シャロウンの空間を分析するにあたり、戦後の数々のプロジェクトへの足掛かりになっていると考えられるナチ政権下における住宅作品を中心に、特徴的な7つの住宅を取り上げている。規模の小さい住宅作品を分析することにより、ハンス・シャロウンの建築におけるプライマリーな空間の型を抽出することを試みる。
分析は、平面図から軸線とそれに沿った矩形を抽出し、それらの矩形が接する部分・重複する部分を可塑境界として読み解く。そして、平面図から分析に基づくダイアグラムを作成する。この分析は、ハンス・シャロウンの空間に於いて可塑境界が空間同士の関係性をつくり、空間同士の連続・重複・分化等を生んでいることを読み取る作業であった。
また、作成した7つのダイアグラムを合成して住宅を設計し、本研究が新たな建築の方法論として展開できる可能性を示した。
  (PDFファイル 916KB)
 プロフィール
1980 埼玉県生まれ
2003 早稲田大学理工学部建築学科卒業
2004 Renzo Piano Building Workshop, Paris
2006 早稲田大学大学院修士課程修了
修了時、早稲田建築設計賞,小野梓記念芸術賞 受賞
2006 隈研吾建築都市設計事務所
   
作品/受賞
2005 『HOUSE8』 SD Review 2005 入選 朝倉賞 ※1
『ヒアシンスハウス』 埼玉県彩の国景観賞、さいたま市景観協力賞 ※2
「第2回TEPCOインターカレッジデザイン選手権」 佳作
2004 「第21回日本建築家協会東海支部建築設計競技」 一般の部 銀賞
「武蔵境新公共施設設計プロポーザル」 佳作 ※3
  ※1 佐野哲史+稲垣淳哉+鳥海宏太+松浦勇一として受賞
※2 ヒアシンスハウスの会として受賞
※3 古谷研究室として受賞



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Copyright (C)The Japan Institute of Architects Kanto-Koshinetsu Chapter 2006 
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