公益社団法人 日本建築家協会(JIA) 世田谷地域会

ここが知りたい、これが言いたい、これは知って欲しい

議員さんから子供たちまで

みんなで語ろう タウンミーティング

「半世紀を迎えた世田谷区民会館+区役所庁舎」Part4

世田谷区庁舎に関するディスカッション



その後、世田谷区庁舎問題についてのさまざまな質問を受け、それをもとにディスカッションを行いました。


Q:審議会の議事録は?
A:世田谷区のホームページにアップされています。

Q:建物の保存意識の高い中、なぜ残す必要があるのか?
A:これまで、成人式や結婚式で利用されてきた、建物の区の象徴としての記憶を後世に残す、原風景として大切 
  にしていく必要性があります。
   建築的価値(前川國男設計)もあります。
  防災拠点という点、バリアフリー・耐震化、区民サービス狭い、建物の老朽化があります。
  税金を安く、使わずにすむのです(耐震補強は十分な耐震強度)。
⇒残すアピールをすると、抽象的や感情的ととらわれがちなのではないか?

Q:建物の保存意識の高い中、なぜ壊す必要があるのか?
A:65年経つと建替るという区のきまりがある。現在、築50年なので、あと15年したらまた建替えなければならない  
   というのが、区の主張です。
   
Q:区内の他の土地を買収し建ててもよいのでは?
A:日本設計の報告書(part2資料) ⇒5つの候補地を検討していますが、審議会での議論が不十分なまま、現在
  の場所に決定というのが審議会の状況です。調査分析は一応は行っています。
   報告書の結論としては、交通アクセスが悪いが、この場所に決まったという経緯です。


○区のフォロー体制はない
  等々力にある玉川総合支所で説明会があったが、意見を受けるフォロー体制がなかった。審議会で傍聴して   いて、黒木さんが模型の説明もさせてもらえなかったのを見ていた。加えて、審議会の資料も委員と傍聴者は資  料が違うようだ。  ⇒区はしっかりとした情報提供をすべきである。


○建物の文化的価値について
竹村津絵・生活者ネットワーク・区議会議員:
  前川國男は群青と赤が好きだった、コンクリートの打ちっ放しに群青と赤を使用することで有名です。
  弘前市では、弘前市庁舎の2Fロビーにも群青と赤色が使用されています。
  弘前市庁舎などのいくつかの前川建築が非常にきれいで、きちんと管理もされています。
   「これからも大切に使っていく!!」と市の担当者が非常に詳しく説明してくれました。
  対して、世田谷区は、文化のない世田谷だと思う。区庁舎には青色があるが、赤が見当たらない、
  文化・前川建築が大切にされていません・・・
  使い勝手の悪さを前川建築のせいにしている区の職員さえいるようです。
  
  表面のクラックは表面上だけで問題ない、躯体・構造まではひびは入っていない。しかし、日本設計の報告書で  は、耐久度・表面の中性化の調査はできていないようで、それをなくして、老朽化と言っています。きちんとした   耐久度調査と表面の中性化調査を行うべきだと思う。
  (中性化:コンクリートはアルカリ性だが空気に触れると、中性に近づいていくので、中の鉄筋が錆びることがあ  り、寿命も65年といわれている。現在の技術では、鉄筋を錆びさせないことは可能)

世田谷区庁舎問題について

  もっと保存・再生を求める署名を集めよう!!同時に保存・再生についての説明も含めて。

  現在は(区の中で)世田谷区役所になじみが薄い人も多い、世田谷区庁舎建替えについて知らない人も多いと   思います。


  区役所建替問題の認知度アップをしていかなければならないでしょう!!

  もっと魅力的に、使い続けられるということも伝えたいです。

  廃材は少なくなる、補修は新築の7割のお金でできるという、新築よりも環境やコストの面でも効率的に再生でき  ます。


  区の結論ははじめから出ています。

  ⇒区民が声を上げていこう! ⇒みんなで審議会を聞きに行こう!

  建築家がこんなに頑張っているのに区民が頑張れていないで申し訳ないという想いです。

  
周辺環境、区役所機能のあり方について

  区役所の隣地に住んでいる住民の方から意見があり、これを口火に議論が白熱する。


  隣接地に住んでいる住民だが、パンフレットを見るまで問題を知りませんでした。

  区に問い合わせたら、「計画はない」と言われました。

  ここの地域は、住宅地なので、大きいボリュームの建物は建てないで欲しい。(保存再生案・特に増築部分)

  ⇒ボリュームを決めるには、まず、区役所機能を集中か、分散か? 議論しましょう!

   (分散型がよいのでは?)

   ここに、45000uが必要なのかは、まず行政機能の3層構造について考えないといけない!と思います。 

  周辺の住環境をきちんと考えていただきたい。 案を作ること自体、迷惑です。100年の計画では、100年間    暗闇になってしまいます。

  ⇒区に無視されないように条件を同一にして案を作りました、検討はまだまだ必要です。ご了承ください。

  事前に許可を得ていないのはお詫びします。



  建物を検討する時に、まずソフトを決めて、何に使うのか?が決まらないといけない、その後にハードが決まると  思います。これについては、区役所にも考えて欲しいです。

  烏山から区役所まで1時間かかかります。出張所がなくなると区民サービスは低下するでしょう。


  審議会での区の意見は3層構造が基本と言うが、庁舎と出張所の人員配分を見ると、実質的に集中・中央化の  方針は明らかです。


  審議会は3層構造や45000uについて、散々議論してきたから、議論を白紙に戻したくないという意見が圧倒的  に多い。


計画案の決定プロセスについて

  条件が柔軟なコンペ方式でやってほしい、そこに区民の意見を盛り込んで欲しい。

  ⇒これからずっと、基本設計など全部日本設計がやるのでは?

  

  今日(タウンミーティング)はいろいろな人がいろいろな思いをもっているということがわかった 

  今後につなげたい!!

  ⇒当時は80万人の区民人口を想定して設計していない、設計者(前川國男)の意図をよみとって、大切に使っ  てほしい。


  この問題の論点を整理しますと、

  ・区民サービスのあり方、3層構造を分散か、集中か

  ・建築的価値、前川建築を大切に

  ・環境、エコなど、コスト

  ですね。


  区役所の(行政機能の)構造は生活の根幹(区民サービス)に関わってきます。
  人口が毎年1万人増えている、待機児童も最も多い、という問題があるのに、なぜ世田谷区は区庁舎にお金を  使うのでしょうか。ほかにもっとやることがたくさんあるだろう。

  ここ数年で、出張所の人員が少なくなっている。その事後評価などをしているのでしょうか?

  災害時の対応の問題、建築確認も本庁にいかないといけない、という不便があります。

  まちづくり出張所がまちづくりセンターと名前が変わるが、この体制でまちづくりができるでしょうか?


  建築が再生できる技術があるということを、もっと区民に広めて、理解できるようなPRも必要かもしれない。



−ファシリテーション・まとめ−

  ファシリテーターの永井ふみ氏より、タウンミーティングの議論をまとめた説明があった。


  いちばん印象的だったのは、建築家や区民の方、学生さん、、、いろんな方が集まり、それぞれがこれまで培っ  てきた話を、みんなで共有できた、というのが一番の成果だったと思います。


  JIAの鰺坂さんから、建物の記憶を残したい、原風景を残したい、税金をあまり使わなくてすむ、耐震上も問題   はない、という話がありました。


  区はなぜ壊す必要があるのか?という話に対して、65年で建替えるというルールがある、防災拠点、環境配    慮、バリアフリーにも対応できていない、など、区として建替える前提の理由が結果として明らかになったという   のがみなさん伝わった。


  審議会での議論はみなさんの怒りは明らかになった。しっかりとした審議がされていない、区民と資料が違う、   議事録が2ヵ月後というのがありました。


  弘前の事例もありましたが、もっと区の職員に、設計者の意図を汲み取って、大切に使っていくことはできないだ  ろうか、という議論がありました。


  建築家がいろいろ検討していますが、区民がもっと声をあげることが必要だなと思います。区民のみなさんも審  議会に参加して、建替えのメリットですとか、しっかり聞いて


  ボリュームの検討の際して、何を使うのか、ソフトに立ち返って、3層構造を議論していかなければならない。と

  いう話がありました。以上です。



小林氏:

  ほんとうにうまくまとめていただきました。 

  やはり、集中か分散か、ここをきちんと議論しなければいけない。

  まず、建物の建替え計画のスケジュールを引き伸ばしましょう。


  今日は、本当に長い間、ありがとうございました。



   

  

模造紙まとめ(ファシリテーション)



   ファシリテーション(まとめ):永井ふみ(株式会社石塚計画デザイン事務所)

   文責:泉山塁威(JIA世田谷地域会)