JIA Bulletin 2017年秋号/海外レポート | |||||||
坂倉準三パリ展を訪ねて |
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大倉久明 |
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4月末から7月にかけて国際交流基金パリ日本文化会館にて「坂倉準三パリ展」が開催された。
坂倉準三パリ展について
「坂倉準三パリ展」は国際交流基金パリ日本文化会館の主催により、2017年4月26日から7月8日までの間開催された。坂倉準三の設計関連資料については、坂倉家および坂倉建築研究所により文化庁近現代建築資料館に寄贈され、2013年に同館で「人間のための建築―建築資料にみる坂倉準三」展が開かれた。今回の「坂倉準三パリ展」は、同展資料を中心にフランス国立公文書館資料、ル・コルビュジエ財団資料などを加え、坂倉準三をより多面的に捉える展示会へと発展させたものである。今展覧会用に制作された3D動画や模型、実物家具なども加わり充実した展示であった。
Part 4: uvres Emblématiques du Paysage Urbain Japonais/日本の都市風景となった作品群 レセプション 「坂倉準三パリ展」の一般公開に先立ち、4月25日にレセプションパーティーが開かれ、我々ツアー一行もレセプションに参加することができた。レセプションには木寺昌人在仏日本大使、杉浦勉交際交流基金パリ日本文化会館館長、磯村尚徳パリ日本文化会館初代館長、今回展覧会実行委員長である高階秀爾氏(大原美術館館長)以下各委員(後述)のほか、坂倉竹之助坂倉建築研究所会長ほか、坂倉準三ゆかりの人々、日仏の建築関係者が集い、華やかながら親しみを感じさせるレセプションとなった。パリ日本文化会館は1937年パリ万国博覧会日本館の敷地に近いこともあり、時間/空間を超えた日仏文化の深い繋がりを感じさせる盛り上がりを見せた。 4月26日 オープニングシンポジウム
展覧会のオープニングに合わせて、「坂倉準三がル・コルビュジエから学んだこと」と題したシンポジウムが4月26日に開かれた。会場は日仏の聴衆で満員となり、坂倉準三に対する関心の高さがうかがえた。シンポジウムは山名善之東京理科大学教授の司会で進められ、山名氏の坂倉準三の活動全般の紹介に続き、高階秀爾氏の基調講演「Autour de “Pavillon du Japon1937”/1937年日本館をめぐって」が行われた。ご自身も含めたパリ時代からの坂倉準三とル・コルビュジエの関係からより詳細な日本館の様子等についての講演であった。
1937年パリ万博日本館敷地探訪
1937年パリ万国博覧会は、セーヌ川沿いおよびシャイヨー宮からエッフェル塔に沿って伸びる都市軸線を含む、非常に広大なエリアを会場敷地としたものであった。日本館の敷地は現在はセーヌ川右岸のシャイヨー宮(Palais du Chaillot)の足元に広がるトロカデロ庭園(Jardins du Trocadero)の一部分となっている。実際のその敷地はどのような場所なのかは、私にとって、長年、写真でのみ想像する場所であったが、今回パリ訪問中には数回敷地周辺を訪ね、敷地の高低差、アンジュレーションなどを確認し、おおよその日本館の配置の位置を推定をすることができた。植栽の現況なども確認を行った。 今回のパリ訪問により、坂倉準三の日・仏両国の近代建築の創成と発展への測り知れない大きな寄与を、改めて実感することができ、貴重な体験となった。
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