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報告

第97回 JIAアーバントリップ 

報 告REPORT

第97回 JIAアーバントリップは、コロナ禍の影響もあり3年ぶりのリアルトリップで、東海支部静岡地域会の方々のご参加も得て総勢44名の開催となりました。ご参加いただきました皆様、ご解説、ご案内いただきました講師、案内の皆様、そして協賛各社の皆様に改めて感謝申し上げます。
当日は天候にも恵まれ、特に午前中は澄み渡った青空が広がり、御殿場へと向かう車中ではうっすらと雪化粧した富士山を仰ぎ、「日本のこころに遊ぶ」と題した見学ツアーの気分が一層高まりました。
「東山旧岸邸」では、「東山旧岸邸」自体と「とらや工房」を2班に分かれ交互に見学いたしました。
「東山旧岸邸」自体では、メンテナンスや改修に関わられていらっしゃる水澤工務店の川嶋健史さんに解説をいただき、各所の構造・工法、材料・素材、意匠・ディテールから、吉田五十八の設計に迫り、意外にもノンシャランな側面や思い描く理想を追求する執念を感じることができました。
「とらや工房」では、お茶とお菓子をいただいたのち、建物とお庭を自由見学しました。建物はその回廊で園路を取り込むようにゆったりと弧を描きながら、旧岸邸から少し下った、深い森が少し開けた場所にひそやかに佇み、内部からは屋根架構の力強い木造挟み梁と羽目板張りの壁面、繊細な鉄骨柱が連なり、視線を自然と外部へと向かわせていました。
「富士カントリークラブ」では、昼食をいただきながら、建物の内外を自由見学いたしました。外部は低く水平に伸びる軒先と屋根が印象的で、内部は巨大な山小屋といった風情で、レーモンドらしい杉丸太を用いた架構がおおらかな空間を形作り、片隅に設けられた暖炉が寛ぎと親睦の場を提供していました。
「かんなみ仏の里美術館」では、設計者の栗生明さんにお越しいただき、コンペ以来の経緯やコンセプト、仕上素材やディテールに至るまで詳しく解説いただきました。お話の中では、設計の当初、建物の配置計画からランドスケープアーキテクトの宮城俊作さんに参画いただき、意見交換しながら計画を煮詰めていったというエピソードが印象的でした。
さて、最終見学地の「かんなみ仏の里美術館」のお庭を歩いていて、ふと気づきました、「実は庭なんだな」と。
「東山旧岸邸」の居間のコーナーを開放し斜に眺める庭と食堂の正面にどんと展開する庭や、「とらや工房」の回廊やテラスから眺める庭、「かんなみ仏の里美術館」の受付から眺める庭や、谷戸を挟み従前仏像が安置されていた薬師堂と対峙し新しい展示室とは搬入口を介してつながる広場などを反芻しながら、「日本の建物と庭は切っても切り離せない」、「建築とそこに建つ環境とを切り離すのではなく、一体的に、相互補完的に考えなくてはならない」というのが個人的に抱いた印象でした。見学プログラムにはお庭や外部空間について特に触れてはいませんが、こうした発見をできたのも、自分の目で見て、自分の足で歩いた、リアルトリップならではのことと、リアルトリップの良さも改めて再認識したアーバントリップでした。

 

概 要OUTLINE

受付を締め切りました。

参加決定者へは、2月9日にメールでご案内をお送りしております。
お申込みをした方は、メールをご確認ください。

日本のこころに遊ぶ

御殿場市は富士山周辺や箱根観光への交通拠点となる高原都市で、歴史ある避暑地として多数のゴルフ場を有し、近年は巨大アウトレットも人気を集めています。この御殿場の街には、戦後間も無くからの名建築が残り、また現代の名建築も次々と生まれています。伊豆スカイラインの起点である函南(かんなみ)町は、厚い信仰心によって平安時代以降の多くの仏像が手厚く保存されてきました。そこには里人の信仰心の拠り所となるべく新しい美術館が設計されました。今回のアーバントリップは、歴史ある地に存在感を放つ新旧の名建築をめぐることをテーマとして見学を行います。 (企画担当コーディネーター:宮島亨、山嵜雅雄、中村雅子)

■東山旧岸邸

東山旧岸邸より借用

岸信介邸は、1969(昭和44)年竣工の建築家・吉田五十八の晩年の代表作品で、吉田の建築的特徴のなかから、工業生産材料の使用、各部屋の障子の荒組、また、食堂では押込戸、和室では吊束の廃止と欄間の吹き抜けなどをみることができます。近代数寄屋建築は、洋風の生活スタイルが導入されつつあった当時の日本において、伝統的ながらもモダンさをうまく取り入れていたことから高く評価されました。

■とらや工房

とらや工房より借用

建物は庭の広がりを受け止めるように緩やかに湾曲し円弧状に配され、喫茶室と販売所の間に作られた半外部空間は、庭の空気を引き込むような緑に溶け込むような空間設計が特徴です。

■富士カントリークラブ

富士カントリークラブより借用

クラブハウスは富士山麓の景観にマッチした木造、平屋風作り。クラブハウスとして初の登録有形文化財。富士山麓の景観にマッチした木造の山小屋風。レストランには富士の全姿がすっぽりと1枚ガラスの窓にはまる「ピクチャー・ウィンドウ」。このガラスは開場当時の日本では製造が出来なかったため、初代山形章理事長、宮本正司がドイツから取り寄せ、寄付されました。

■かんなみ仏の里美術館

提供:栗生明+北川・上田総合計画

かんなみ仏の里美術館では、その精神性を計画の念頭に置き、『堂』としての佇まいを継承しています。桑原薬師堂に替わる仏像安置施設として、単なるキューブ(箱形)の建物ではなく、『堂』に相応しい屋根形状を意識し、かつ、桑原地区、ひいては函南町の象徴となる形態として、方形屋根が計画されました。

詳細情報DETAIL

開催日
2023年2月16日(木)
時 間
8:15集合、18:45解散(予定)
会 場

1.東山旧岸邸 / 1969年竣工

  住所 :静岡県御殿場市東山1082-1

  設計者:吉田五十八

  規模 :地上2階、延床面積 1,275.58㎡、木造

2.とらや工房 / 2007年竣工

  住所 :静岡県御殿場市東山1022-1

  設計者:内藤廣建築設計事務所

  規模 :地上2階、延床面積 116.70㎡、木質折版構造

3.富士カントリークラブ / 1958年竣工

  住所 :静岡県御殿場市東山2472

  設計者:アントニン・レーモンド

  規模 :地下1階 地上2階、延床面積 5385.13㎡、

      鉄骨造一部鉄筋コンクリート造

4.かんなみ仏の里美術館 / 2012年竣工

  住所 :静岡県田方郡函南町桑原89-1

  設計者:栗生明+北川・上田総合計画

  規模 :地上2階、延床面積 980㎡、鉄骨造

 

交通案内

新宿駅西口周辺(JR、京王線、小田急線、地下鉄各線新宿駅)

*詳細は後日

 チャーターバスで移動

講 師
東山旧岸邸: 川嶋 健史(水澤工務店)
かんなみ仏の里 美術館: 栗生 明(栗生明+北川・上田総合計画)
とらや工房 :野田 亜矢子(虎玄)/案内
富士カントリークラブ: 菊地 温子(富士カントリークラブ)/案内
参加対象者
会員/賛助会員/一般/学生/ほか
参加費
5,000円(入館料、昼食、茶菓子、資料、保険料を含む)
定 員
40人(原則、先着順)
CPD
6.0単位
問合せ先
公益社団法人 日本建築家協会(JIA) 関東甲信越支部 事務局 (担当:中山)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-3-18 JIA 館4 階
E-mail : urbantrip@jia.or.jp TEL: 03-3408-8291 FAX: 03-3408-8294
申込方法

参加希望の方は、下記 Google フォームよりお申込み願います。

https://forms.gle/vAGwFJZa1U3J9ju29

応募受付開始:2023 年01月17 日(火)12:00
応募締切り :2023 年02月09 日(木)12:00
参加決定者の方には、実施約1週間前に改めて集合場所等の詳細資料をお送りいたします。

注意事項

<服装:ドレスコード>

富士カントリークラブには「入場時ドレスコード」があります。

・上着(ブレザー、ジャケット)を着用。ブルゾン、丸首シャツ、Tシャツ、

 ジャンパーはNG
・男性は襟付きのシャツ、ハイネックシャツとし、シャツの裾はズボンの中に

 お入れ下さい。
・女性はブラウス、襟付きのシャツを着用下さい。
・カーゴパンツ、ジーンズ、スエットパンツでの来場はNG

 詳細は以下よりご確認ください。

  https://www.fujicountryclub.com/information/

  https://www.fujicountryclub.com/dress_code/

*富士カントリークラブ様より以下のアドバイスをいただきました。

 冬季の御殿場で非常に寒いため、上着(コート類)の着用は問題ありません。

 お風邪など召しませぬようご準備ください。

 また、降雪時には、足元にもお気遣いいただき、お怪我などなさいませぬようお越しください。

 <新型コロナウィルス感染症対策>

・参加当日、体温を計測させていただき、37.5度以上の方は参加をご遠慮いただき

 ます。

・体調のすぐれない方は参加をご遠慮ください。

・見学中はマスクの着用と消毒にご協力ください。

・見学中は、委員及び案内者の指示に従うようお願いします。

・新型コロナウィルスの感染状況によっては中止の場合があります。

<個人情報の扱いについて>

・個人情報保護法の施行に当たって、JIA日本建築家協会は法律に則って、個人情報

 を保します。

・個人情報が漏えいしないよう対策を講じます。ただし、参加者名簿は協賛会社へ

 配布させていただきます。

・個人情報を利用の目的で委託者に渡す場合は、利用目的以外に使用されないよう

 委託先を監督します。

<キャンセル料について>

・2月13日以降にキャンセルされた場合、100%のキャンセル料が発生いたしますの

 でご注意ください。

 (キャンセル等は上記問い合わせ先へお早めにご連絡ください。)

見学概要

・チャーターバスによる1日見学会(バス代はスポンサー支援費より支出します)
・ 建物見学と設計者・関係者による現地解説
・ 東山旧岸邸と とらや工房は 2班に分かれて見学いただきます。
・ イヤホンガイドを使用しての説明になります。
・ かんなみ仏の里美術館の館内は撮影禁止となります。
・ WEB、SNS等への掲載については、著作権、肖像権などにご配慮ください。
・ 施設見学は安全に注意し、各自責任を持って移動下さい。

主 催
公益社団法人日本建築家協会 関東甲信越支部 アーバントリップ実行委員会
後 援
協力:新国際通信社
協 賛
旭ビルウォール株式会社 株式会社イケガミ 三協立山株式会社 株式会社東京工営 株式会社ユニオン