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報告

第101回 JIAアーバントリップ

報 告REPORT

香山先生はどのような方なのだろう。一度お会いしてみたい、そんな思いから今回のツアーに参加した。

彩の国さいたま芸術劇場と聖学院大学礼拝堂・講堂を午前中に見学、東大へ移動し、伊藤国際学術研究センターへ。昼食後本郷キャンパスを歩き、農学部の弥生講堂を見学、代官山へ。近作の本多記念教会を見る。
一日かけて劇場、学校、教会と、盛りだくさんのツアーであった。その中で最も印象に残ったのは、工学部6号館の増築から始まる本郷キャンパスの一連の仕事である。キャンパスの震災復興計画をやられた内田祥三先生の仕事に敬意を払いながら、新しい施設の要望に向き合い、時間をかけて誠実に設計された仕事は、地味ではあるが、説得力をもつ素晴らしい仕事であった。古い街並みに対して、どのように新しい建物をつくっていくのか、その一つ一つの手法に香山先生の建築に対する真摯な姿勢と、建築はどうあったらいいのかという根源的な問いかけが、そこに現われているのを感じて感銘を受けた。今なお続けられている東京の開発の波に対して、このように時間の痕跡が感じられる街並みが、今ここに残っているということは、本当に貴重なことだと思った。長年の本郷キャンパスの仕事こそ、香山先生の最高の贈り物だと思った。

見学後、JIA会館にて懇親会が開かれた。香山先生を囲みワインを味わいながらのリラックスした雰囲気のなか、先生の話で特に印象に残ったのは幼少期の話である。戦前、父親の仕事の関係で幼少期を満州の新京で過ごし、終戦の翌年、小学校4年で日本に引き揚げ、母方の実家があった新潟で過ごしたこと。その時見た日本の風景の美しさ、それが自分の原風景となっていること。そして戦争についての話。戦争反対と人は言うけれど、本当に戦争の悲惨さを知っている人間は、もはや戦争の話などしたくはない、忘れたいのだと。その語りに、人間に対する一人の建築家の深いまなざしのその奥を見るような気がして、聞き入った。建築の仕事や研究のその奥底に、一人の人間の存在を感じさせた瞬間だったように思う。

この文章を書きながら、10年近く前に読んだ先生の著作「プロフェッショナルとは何か 若き建築家のために」をひさしぶりに書棚から取り出してみた。たくさんの線が引かれた頁をめくると、昔読んだ時のことが思い出されてくる。設計の仕事をやりながら絶えず思い悩み、確かな何かを求めて苦しんでいたそんな時期に出会った本であったように思う。文中から伝わってくる言葉の数々に、随分と心が救われ、勇気をもらった本である。この機会に、もう一度読み返してみようと思った。

井上洋介(井上洋介建築研究所)

  
コンクリートによる        壁に埋め込まれた手摺
クラシカルな列柱のディテール  (伊藤国際学術研究センター)
(彩の国さいたま芸術劇場)

  
尖塔アーチのアーケード         工学部中庭に植えられたアカンサスの木
(東京大学本郷キャンパス)

  
キャンパスの木々を写しこむ    ガラリのディテール。
木造建築のガラスのファサード   手仕事が伝わるアイアンワーク
(東京大学弥生講堂)


木造による表しの屋根架構(日本基督教団 本多記念教会)

  
見学会後の懇親会。香山先生を囲んで

 

概 要OUTLINE

定員を超えた為、申込みを締め切りました。
たくさんのお申込み、ありがとうございました。

第101回 JIAアーバントリップ 香山壽夫先生と建築作品を巡るバスツアー
「 劇場・学校・役場・教会 ~30年の歩み~ 」

香山先生は、東大で吉竹泰水先生に、ペンシルヴェニア大でルイス・カーンに師事された後、1971年の東大助教授就任、1973年の事務所創立を経て、爾来50年以上にわたって日本の建築界に優れた建築作品を提示され、また多くの優れた建築家を輩出されてこられました。
今回のツアーでは、30年前に、劇場を手掛ける端緒となった彩の国さいたま芸術劇場(2023年大改修)を皮切りに、30年の足跡の中での膨大な作品群の中から、先生自ら選定していただいた建築を見学し、わたしたちがその道のりを少しでも感じられるものとしたいと思っております。
ドラマティックであり、厳粛であり、理知的であり、しかし優しく包み込んでくれる空間を、建物の中であるいはバスの中での、先生とそのスタッフのみなさんからの解説とともに、香山ワールドを存分に味わう時間としていきます。

また見学後はJIA建築家クラブにてワインを味わいながら、先生とともにざっくばらんに建築を語り合う場といたします。ぜひお楽しみに。

■見学主旨
建築家 香山壽夫先生 の東京近郊の作品群の中から、先生ご自身の選定で、設計ご担当、施設関係者より解説頂く終日トリップを実施します。

■見学概要
・現地集合、香山先生ご同行のバス移動による建物見学

■開催日 2024年5月27日(月)
9:15「彩の国さいたま芸術劇場」集合、その後バス移動、17:30解散
その後、香山先生を囲む懇親会 建築家クラブ(希望者)

■会場
1.彩の国さいたま芸術劇場
所在地 :埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1
竣工年 :1994年  中規模改修2011年 大規模改修 2024年
主要用途:劇場
建築主 :埼玉県
設計 :香山壽夫+環境造形研究所(現 香山建築研究所)
施工 :間・大成・八生JV


Photo:©SHIGEO OGAWA

2.聖学院大学礼拝堂講堂
所在地 :埼玉県上尾市戸崎1-1
竣工年 :2004年
主要用途:大学講堂
建築主 :学校法人 聖学院
設計 :香山壽夫建築研究所(現 香山建築研究所)
施工 :戸田建設


Photo:©松岡満男建築写真事務所

3-1.東京大学伊藤国際学術研究センター
所在地 :東京都文京区本郷
竣工年 :2011年
主要用途:大学
建築主 :国立大学法人 東京大学
設計 :香山壽夫建築研究所(現 香山建築研究所)
施工 :鹿島建設
構造規模 :RC造、一部SRC造、S造 地下3階/地上5階
延床面積 :5,562.12㎡


Photo:©SHIGEO OGAWA

3-2.東京大学弥生講堂一条ホール
所在地 :東京都文京区弥生
竣工年 :2000年
主要用途:大学
建築主 :国立大学法人 東京大学
設計 :香山壽夫建築研究所(現 香山建築研究所)
施工 :一条工務店


Photo:©香山建築研究所

4.日本基督教団本多記念教会
所在地 :東京都渋谷区代官山町
竣工年 :2023年
主要用途:教会
建築主 :日本基督教団本多記念教会
設計 :香山建築研究所
施工 :(株)TH-1


Photo:©SHIGEO OGAWA

■注意事項
・見学中は、委員および案内者の指示に従うようお願いいたします。
・体調のすぐれない方は参加をご遠慮ください。
・参加当日、体温を検温させていただく場合があります。
・写真、動画などの撮影については、禁止箇所や禁止事項などがあります。見学時の指示の厳守をお願いいたします。
・WEB、SNS等への掲載、投稿などは、上記に十分配慮し、良識をもって行っていただくようお願い申し上げます。
<キャンセル料について>
・5月23日以降にキャンセルされた場合、キャンセル料として100%の参加費を申し受けます。十分ご注意願います。(キャンセルのご連絡は、以下の問合せ先までEメールにてお願いいたします。)

・個人情報保護法の施行に当たり、日本建築家協会(JIA)は法律に則って、個人情報を保護します。
・個人情報を利用目的以外に使用しません。
・参加者の個人情報は委託者を除く第三者に提供しません。
・参加者名簿(お名前・所属先・役職・住所=区、市まで)は協賛企業各社に提供、当委員会と共有いたします。
・見学の模様はyoutubeなどに、記録として公開する予定です。やむなくお顔、お姿などが写る場合があります。あらかじめご了承をお願いいたします。

 

詳細情報DETAIL

開催日
2024年5月27日(月)
時 間
9:15「彩の国さいたま芸術劇場」集合、その後バス移動、17:30解散
その後、香山先生を囲む懇親会 建築家クラブ(希望者)
9:30~10:30 彩の国さいたま芸術劇場(以降、バス)
11:00~11:30 聖学院大学礼拝堂・講堂
13:00~15:00 昼食(各自)及び東京大学(伊藤国際学術研究センター、弥生講堂他)
16:15~16:45 日本基督教団本多記念教会
17:30 JIA建築家クラブ(解散もしくは懇親会)
会 場

1.彩の国さいたま芸術劇場
所在地 :埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1
2.聖学院大学礼拝堂講堂
所在地 :埼玉県上尾市戸崎1-1
3-1.東京大学伊藤国際学術研究センター
所在地 :東京都文京区本郷
3-2.東京大学弥生講堂一条ホール
所在地 :東京都文京区弥生
4.日本基督教団本多記念教会
所在地 :東京都渋谷区代官山町

交通案内

集合 彩の国さいたま芸術劇場  施設内の詳細は参加者にお知らせします。
・電車)JR埼京線与野本町駅(西口)下車 徒歩7分 池袋から各駅停車で約29分
・バス)JR京浜東北線北浦和駅(西口)から
・西武バス「大久保」「大久保団地」「加茂川団地」「浦和北高校」行き
・国際興業バス「さいたま新都心」行き「彩の国さいたま芸術劇場入口」下車徒2分

講 師
香山壽夫氏(香山建築研究所 会長)
長谷川祥久(香山建築研究所代表取締役所長)
浜野次郎氏((株)万建築設計事務所/元香山建築研究所)
梅野勇氏(香山建築研究所 取締役副社長)
綾井新氏(綾井新建築設計/元香山建築研究所)
鈴木隆史氏(香山建築研究所)
参加対象者
会員・協力会員・一般・学生
参加費
3,000円(税込)(資料代、イヤフォンガイド、保険料、その他諸費用の一部を含む)
17:30からのJIA建築家クラブにおける懇親会は別途1,500円(税込)
定 員
50名(原則先着順、募集定員に達し次第締め切り)
CPD
6単位(申請中)
問合せ先
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部事務局(担当:中山)
urbantrip@jia.or.jp
申込方法

参加希望の方は、下記Google フォームよりお申込み願います。
申込フォーム

応募締切:定員に達し次第締切
参加決定者の方には、実施1週間前くらいに改めて、決定のお知らせと集合場所等の詳細資料をお送りします。なお、参加の権利は他者への譲渡はできません。
*5月23日以降にキャンセルされた場合、キャンセル料として100%の参加費を申し受けます。十分ご注意願います。(キャンセルのご連絡は、問合せ先までEメールにてお願いいたします。)

主 催
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部アーバントリップ実行委員会
協力:(株)新国際通信社
協 賛
旭ビルウォール(株)、(株)イケガミ、三協立山(株)、(株)東京工営、(株)ユニオン、(株)一条工務店、(株)エービーシー商会、鹿島建設(株)、(株)TH-1、東芝ライテック(株)、パナソニック(株)、森平舞台機構(株)、ヤマハサウンドシステム(株)