コラム

2020.07.08

Vol.40 仮想現実と現実

最近生活の中で草花を育てたり、野菜を作ったりすることが増えてきました。土を握ると指先に温度、湿度、粘度、硬さ、柔らかさ、重さ、様々な情報が伝わってきます。鼻腔からは香りも感じます。私達が持つ五感のセンサーがフル活動です。今、新型コロナウイルスの蔓延の影響も後押ししてリモートまたはオンラインと言われる情報伝達がごく普通になってきました。比較すると直接伝達できるのはまだ聴覚、視覚だけです。

やはり仮想現実と現実には大きな隔たりがあります。安直に機械に頼るのではなく直接皮膚感覚を得られることも住生活の工夫としてあってもよいのではないでしょうか。

玄関一つだけの住まいも増えてきました。壁で内外を仕切ってしまって自然の風や雨と杜絶することだけでなく少しでも自然環境と親しむ工夫、日本建築がもっていた縁側のような内外空間の柔らかな接点、また裏口から泥付き野菜を運び込めるような空間が一層大切になると思います。

記:米田雅夫


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新型コロナウイルスで暮らしと住まいは変わる!?
世界中を襲った新型コロナウイルスという大災害の中でのすごし方、そしてその後の暮らしや住まい、環境に対する意識や価値観は変わるのでしょうか。 住宅部会の 建築家達がリレー形式で、それぞれの視点で語ります。

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