コラム

2020.06.07

Vol. 24「テレワークで町と街が変わる 」

東京オリンピック時のテレワークや時差通勤の検討が、コロナ禍で実践になりましたが、ネット環境が進歩した今日、テレワークの可能性を実感しています。

コロナ禍の収束には時間がかかりそうです。テレワークは地域を選ぶ必要がないので、地方にも人が増え、企業と地域コミュニテイの変化で町と街(*1)が活性化されると良いと思います。そして生活の豊かさの指標が、利便性の享受から自然の恵みの享受へ軸足が移り、住まい自体が変わる必要があると思います。

日本の都市住宅の始まりは町屋と長屋です。そこには坪庭、盆栽そして路地等が上手に取り入れられ、ミニマリズム(*2)の優れた文化です。その良さは現代にも通じますが、住宅は「敷地の半分の建物」が良いと私は思います。集合住宅も旧住宅公団(*3)の整備では敷地の40%位しか建物を建てていませんでした。そしてもう一つ。リビングルームは昼夜共にカーテンを閉めない生活です。その結果、夜の街路灯の照度を落とせば街の風景が一変します。想像してみてください。

(注釈)

*1:町は人が集まって住むところ、街は商店や住宅が建ち並ぶ通りです。

*2:ミニマリズムは余分な装飾をそぎ落とし、最小限の表現に昇華させることです。

*3:住宅公団は1981年に都市・住宅整備公団に継承され、1991年都市基盤整備公団を経て2004年に都市再生機構へ移管されている。住宅公団時代は集合住宅を供給していました。

記:寺山 実

建ぺい率53.6%の住宅の夕景                               撮影:フォトワークス 松田哲也

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