コラム

2020.05.13

Vol.11 「住まいの断熱性能の差で体温が変化する」 

Stay home ,Save livesの状態が続くなか、身の廻りを整理しながら暮らしていると新しい発見があります。

その一つに、事務所と自宅での1日4回の体温測定があります。3月の事務所では午後3時過ぎには太陽の日射が少なくなり室温が下がります。一方、自宅ではその温度差は小さいです。これは断熱性能の差によるものです。測定結果は事務所では35.5℃から36.0℃ですが、自宅では36℃から36.8℃です。

人は脳幹(*1)の温度を37℃に保つ必要があるようです。暑い時は汗をかき、放熱をして身体を冷やしますが、寒い時は着衣を増やしたり、採暖(*2)の必要があります。人は常に周りの環境と放射熱のやりとりをしています。

断熱性能の低い建物では、壁などの表面温度が低く、人は輻射(*3)により体温が奪われます。一方断熱性能の高い建物は、室内の空気温度と壁等の表面温度が同じで輻射による体温の低下はありません。この輻射の差が体温測定の差の要因の一つになります。体温を保つことは免疫力を高めます。健康で暮らす為にも住まいの断熱性能は重要です。

(注釈)

*1:人の深部体温は37℃と言われていて、脳幹は生命維持にとって重要な働きをしています。

*2:採暖はストーブ等で直接暖まることで、暖房は建物の断熱性能を高めて体感温度を上ることです。

*3:建築では放射を輻射と呼んでいます。

(参考)

室内の体感温度:空気温度と床、壁そして天井からの輻射温度を加えた平均値です。

記:寺山 実

                                             撮影:フォトワークス松田哲也

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