〈すみだまり〉の展望台
― 《The Peacock Skirt》の体験的リサーチと再構成をとおして- 氏名
- 芝麻由香
- 所属
- 早稲田大学大学院
創造理工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 吉村靖孝研究室
- 作品概要
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イギリス産業革命の頃、挿絵作家・ビアズリーは線を印刷に耐えうる太さで描くという制約に縛られ、独自のインクの納まり(=〈すみだまり〉)を生んだ。一方で現代の隅田川と小名木川の合流点には、高さ4mの波を遮る堤防、それ以上の高さから見晴らすための展望台とその動線、貸し会議室の建て替えが計画され、設計における様々な質量をもつ線的要素を敷地へ納めることが求められている。両者に「"線"が幅のある"帯"となることでその納まりから逃れられなくなる」という共通点を見出した。インクの加筆であった〈すみだまり〉に建築的機能を見出すことで装飾を身体の動きのよりしろとして読み替え、それらが敷地やシークエンス全体の中でつり合うように再構成した。平面・断面・立面において1/10000から1/5まで、22箇所に盛り込んだ展望台を提案する。
4mの堤防を登って降りていくまでの間に様々なスケールで反復する〈すみだまり〉の効果が、指先の手触りから都市の眺めまで身体感覚を繋げる。判型という絶対的範囲に対するデザインが、実空間ではむしろ体験を外へひらく要素となる。
Profile

略歴
幼少期からモダンバレエを 16年間継続し、中高の美術部にて絵画を学び、大学では建築学を専攻した。これらの経験を通し、建築の記譜法の開発や什器制作等、身体に響く多角的な空間表現を模索している。