人工層序学

氏名
房野広太郎
所属
明治大学大学院
理工学研究科 建築・都市学専攻
研究室
構法計画研究室(門脇耕三研究室)
作品概要

 本設計は、環境問題を背景に物質循環社会を目指して行われる、処理すべき廃棄資源の再生活動がオーバードライブした時に起きる、建築とランドスケープのシミュレーション的提案である。
 人類の活動によって地球の生態系や気候に大きな影響が出た結果、地質年代区分からその影響を読み取ることができるようになるという考え方に基づくと、現在、地表に立つ建築は、未来の地質としてみなすこともできるだろう。そのとき、過去の状況を把握する手段としての地質は、人間の活動が活発化した頃から自然物では構成されていないかもしれない。古代文明の活動を把握する際に研究対象となったものが、陶器、すなわちセラミックであったように、人工物質は、数千年の時を経てもなお消滅しない。たとえ人工物をテクノスフィアで回し続けたとしても、建築として遺ったその物質は時を経て読み解かれる存在になるのではないか。
 本提案ではまず、セラミックの環境インパクトに着目し、循環社会を目指して、廃棄セラミックを原料とした非焼成ブロックを生産する工場を設計する。その工場では、流入するセラミックの量だけ、ブロックを生産するが、過剰に余るブロックが周辺に堆積し、そこが次第に建築へと読み替えられていく。
 物質循環社会は、ある地点に達すると建築に対して材料消費を自己目的化するようになる。その末に起こる現象は、人新世における建築のあり方となるはずだ。

作品イメージ

Profile

略歴

2019年 神奈川大学附属高等学校 卒業

2023年 明治大学理工学部建築学科 卒業

2025年 明治大学大学院理工学研究科建築・都市学専攻 修了