地域と共生する新たな駐車場の姿

一結節点としての駐車場が創る人々の交流と滞在時間一
氏名
吉川布記
所属
武蔵野美術大学大学院
造形研究科 デザイン専攻建築コース
研究室
布施スタジオ
作品概要

郊外駅は都心への依存を深め、画一的な景観と人々の流れの一極集中を生み出しています。
自動車利用率が高い唐木田駅前も例外ではなく、広大な駐車場が駅前空間を占領し、地域交流の場が不足しています。
そこで、本提案では駐車場の立体化と多機能化により、駅前空間を再編し、郊外の課題解決を目指します。
設計の第一の特徴は、車動線と人動線に異なる設計原理を適用したことです。車動線は伸びやかな平面的配置、人動線は垂直的な動きを重視することで、空間に立体的なダイナミズムを生み出します。次に、各階層を水平にずらす「ずらし」の手法を用いることで、多様な動線が交差する空間を生み出します。2種類のスロープを設け、異なるルートを選択できることで、駐車自体が豊かな移動体験となる場を創出します。
これらの設計により生まれる余白空間には、多目的な滞在点を配置し、駐車場を人々が集う場へと再定義します。余剰空間の半分を公園として地域に開放し、車と人の動線を丘と植栽で仕切ることで自然と調和させました。
構造面では、外周にV字型トラスを採用することで、コア構造に依存しない安定性を確保しました。
プログラムでは、周辺施設の分室を組み込み、地域特性を生かした複合機能を持つ駐車場として機能させます。
本提案は、駐車場を単なる停留施設ではなく、交流や新たな視点を生む場と捉え、郊外の特性に応じた新しい駅前空間モデルを提供します。駐車場という構造物を主とすることで、都心型の消費主義的な空間モデルを模倣するのではなく、郊外ならではの駅前空間を創出することを目指します。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 高知県高知市生まれ

2023年 武蔵野美術大学 造形学部 建築学科 卒業

2025年 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 デザイン専攻建築コース 修了