こごみのねっこ
−認定 NPO 法人フリーキッズ・ヴィレッジにおける暮らしの継承としての日常工法の提案−- 氏名
- 横関あかね
- 所属
- 前橋工科大学
工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 若松均研究室
- 作品概要
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長野県伊那市で活動する認定NPO法人フリーキッズ・ヴィレッジは自給自足の生活を基盤とし、衣食住すべてが自然から与えられていることを実感できる暮らしを営んでいる。建築もまた自然と共にあり、人々が自らの手で「つくり」「壊し」、そして再び「生み出す」という循環の中にある。この場所では建築において大人と子どもの区別がなく、建てることと使うことの境界も存在しない。それはまるで「育てる」ような営みであり、建築を特別なものではなく、日常の一部として捉える文化が根づいている。私はこのような建築のあり方を「日常工法」と名づけ、研究を行った。
日常工法:その場にある材料や、偶然的な出来事、人の流れによって、日常的に変化し続ける建築の工法。
本設計では、廃校跡地を地域の広場として再生している「みんなの村」を計画地とし、長期的にコミュニティが存続していくための建築の在り方を提案した。短期間で建て替わる建物の中で、材料や行為が循環し、小さな日常の積み重ねが場の力を育んでいくような空間を目指した。具体的には、敷地内に既にある、あるいは将来的に流入するであろう材料を出発点とし、そこにいる大人や子どもたちだけで建てられる建築を計画した。日常の中で柔軟に変化していける、可変性を備えたデザインを意識している。
建築の価値とは、いったい何だろうか。
デザイン性、耐久性、経済性ーー建築は様々な側面から評価される。しかし、そこに「かたちある建築」が存在しなくても、その制作過程や関わる人々の行為そのものが、建築としての価値を持ち得るのではないだろうか。
Profile

略歴
2000年 長野県生まれ
2023年 前橋工科大学 工学部建築学科 卒業
2025年 前橋工科大学大学院 工学研究科建築学専攻