つちのみちづくり
小規模崖線村落における地域資源を用いた坂路地空間の整備- 氏名
- 片岡俊太
- 所属
- 日本工業大学
工学研究科 建築デザイン学専攻 - 研究室
- 吉村研究室
- 作品概要
-
私たちの暮らしは、土に支えられている。地面の反力によって人や建物は立つことができるし、食べ物となる植物や動物、見えない微生物も土を必要としている。しかし、近代主義の建築デザインでは、物理的側面が重視され、生態的側面は軽視されてきた。住まいにはかつて、土間や土壁、葺き土など、暮らしの中に土があることは当たり前であったが、近年の住宅においては、底部はコンクリートで塞がれ、庭や道までも自動車のために舗装されている。このように現代においては、舗装によって土中までを含めた空気や水の循環が失われ、人は土に触れることが少なくなっている。本計画では、こうした土との接点を、現代の暮らしに取り戻すことを目的として、多くの人の協力が必要な土作業に着目し、地域に共有される路地環境を、地域住民で整備する「みちづくり」と、その場をかたちづくる建築群を提案する。
茨城県つくば市の小規模崖線村落である金田において、建設材料としての土を生態的側面と協働的側面から見直し、地域資源と農に関わるブリコラージュとあわせて、地域住民でつくる「人々が出会う坂」、来訪者とつくる「歴史と生態を学ぶ坂」、新住民とつくる「農と水の坂」という3つの坂路地空間を提案している。様々な分断の間にある崖線集落において、地域資源と土を用いて自らつくり、使うことを通して人々が集う、まちづくり未満の小さなみちづくりの可能性を示した。
Profile

略歴
2001年 茨城県つくば市金田 生まれ
2023年 日本工業大学建築学部建築学科 卒業
2025年 日本工業大学大学院 工学研究科 建築デザイン学専攻 修了