70年間増改築を繰り返した住宅の新しい増改築の提案
- 氏名
- 福地至恩
- 所属
- 東洋大学大学院
理工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 工藤和美研究室
- 作品概要
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私が対象とした築70年の木造住宅は、長年の増改築によって統一感を失い、構造が複雑化していた。この歪な状態に私は都市の「雑多」さを見出した。新宿や渋谷のまち並みも、建築のファサードや看板、剥き出しの設備が入り乱れ、デザインコードのない「雑多」な状態となっている。そのため、建物の輪郭は曖昧になり、新しく手を加えても変化を感じにくい状況にある。一方で、現代の建築は多様な人々を受け入れる柔軟性が求められている。住宅でも一部賃貸が増え、仕事場もシェアオフィスやコワーキングスペースが一般的になった。つまり、この時代に適応する建築とは、「多くのひととものを受け入れる空間」を持つことだと私は考える。
ここで私は一つの建築の中で都市の「雑多」さがあれば、多くのひととものが変化しても自然に溶け込むような空間をつくることができるのではないかと考えた。この築70年の住宅も、場当たり的な増改築を重ねた結果、都市と似た「雑多」さを手に入れた。私はその空間を、次の使い手たちの活動が描き出す変化をあたかもそこにあったかのように受け入れる「雑多なキャンバス」と名付けた。本提案はその雑多なキャンバスとはどのような状態かを新しく増改築する中で示すことが目的である。
Profile

略歴
2018年 東洋大学入学
2022年 東洋大学大学院入学