交錯する領域がひらく他者とのせかい
-知的障害者の領域性から考える共生の空間づくり-- 氏名
- 北林 栞
- 所属
- 東京理科大学大学院
創域理工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 西田司研究室
- 作品概要
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本研究は、知的障害者の領域性に着目し、空間内でのふるまいが特徴的で、状況に応じた領域の変化が少ないという特性を考慮した空間設計を提案する。一般的な障害者支援施設では一室空間が主流であり、利用者が自ら居場所を選ぶ機会が限られている。本研究では、知的障害者の領域の特性を理解し、共生を促す空間のあり方を探ることを目的とする。そのために、6つの障害者支援施設を訪問し、計15回の観察調査と利用者参加型ワークショップを実施した。分析の結果、知的障害者の領域は特定の建築的エレメントの組み合わせによって形成されることが明らかになった。このエレメントを最小単位として活用し、利用者が自然に居場所を選択できる空間の構成を検討する。
個々のエレメントを他者のものと重ねることで、独立性を保ちつつ関わるきっかけを生む空間を目指す。この手法を用い、調査から得た14の領域を基に、一つの大きな空間を設計する。領域を敷地中心から放射状に配置し、吹き抜けを設けることで視線の抜けを確保し、隣接・遠隔の領域間に関係を生む。また、職員が利用者を見守りやすい環境にもなる。知的障害者が安心できる環境の中で自然な交流を生み、学びや気づきを得る機会を提供するとともに、多くの人々に開かれた空間の可能性を示す。
Profile

略歴
2001年 長野県松本市生まれ
2023年 工学院大学 建築学部 建築デザイン学科 卒業
2025年 東京理科大学大学院創域理工学研究科 建築学専攻 西田研究室修了