風景を宿す建築
五箇山地域における学びと生業の連関結束点- 氏名
- 水上翔斗
- 所属
- 東京理科大学大学院
創域理工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 西田司研究室
- 作品概要
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現代において、あらゆる活動は自然環境から分断された空間で行われている。学びや仕事、さらには日常の暮らしでさえも、それぞれの連関が断たれた閉鎖的な空間の中で営まれる。この状況において、建築は機能に従属した存在となり、空間は効率性や経済性を優先するあまり、場所性を喪失し、代替可能なモノへと変換される。
しかし本来、人類がしてきた建築行為とは、厳しい環境下でいかに自然循環を活用するか、どのように自然の大きなエネルギーに抗うかを模索しながら、自然の一部としての空間を作り出すことであった。そのなかで生まれる建築様式は、多くの合理的な面を持っており、その環境合理性は「必然の産物」であったかのようにもみえる。それはまるで土地が建築を生み出しているかのようだった。
本提案では、かつて合掌造りの里である富山県五箇山地域にて、生業や学びといった人間の根本的な活動を、建築を介して環境と結びつけることで、新たな集落の在り方を提案するものである。塔という形式は、合掌造りが担っていた環境合理性を継承しつつも、人口減少による共同体意識の損失という危機的状況に一つの策を提示する。それは埋もれてしまっている人々の小さな営みを建築によって可視化し、時間や空間を超えて他者へ伝えることである。
「必然の産物」を追求した建築はそこにあるものから、そこからうまれたもの、そこになくてはならないものへと昇華する。
Profile

略歴
2000年 富山県生まれ
2023年 東京理科大学 理工学部 建築学科 卒業
2025年 東京理科大学大学院 創域理工学研究科 建築学専攻 修了