トラム停留所と近傍の建築空間の相互浸透性

氏名
傳田幸正
所属
東京大学院
工学系研究科 建築学専攻
研究室
川添研究室
作品概要

都市の滞在空間としてのトラム停留所に着目する。トラム停留所を歩行者のアクティビティの起点として捉え直し、建築空間との新たな重なり合いを提案した。

まず都市交通の先進都市として、ウィーンのトラム停留所を調査した。停留所では乗客はトラムを「待つ」という明確な目的のもと滞在する。この「待つ」空間に別の行為が重なるときがある。たとえば「通る」歩行者空間が重なる場合だ。このような異なる行為の重なりは、決められた境界によって行為が規定される場所に対し、豊かな都市空間となる契機を秘めている。こうした利用者の行動に基づいて停留所空間を類型化し、空間構造を記述した。

調査で得られた類型をふまえ、日本国内で設計提案を行った。設計対象は長崎県を代表する商店街、浜町アーケード周辺のA:思案橋駅、B:浜町アーケード駅、C:西浜町駅の3地点である。現状これらの停留所は行為の共存が起きない類型であり、安全性や公共空間の質の観点から改善が求められていた。ここではそれぞれの敷地でトラム停留所と近傍の建築空間を共に設計することで、停留所の新たな三つの類型パターンを提案した。
このプロジェクトは、トラム停留所でのアクティビティをきっかけに、周辺環境を巻き込んだ新たな都市の関係性を紡ぐ。1つの建物や敷地のみにとどまらず、リニアにつながる小さなプロットを起点として街の営みに作用する提案となる。

作品イメージ

Profile

略歴

1999 _ 神奈川県横浜市生まれ

2022 _ 東京大学工学部建築学科 卒業

2023~2024 _ ウィーン工科大学

2025 _ 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修了