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-不確かなものから生まれる小さな気づき-
氏名
高須 拓
所属
東京藝術大学大学院
美術研究科 建築専攻
研究室
中山英之研究室
作品概要

その時々で存在感が増したり減ったりするような移ろいのある“不確かなもの”もしくは“不確かな場”が設計できないだろうか。私は本修士設計を上記を探求する試みとして位置付け、3つの私的な場所で、暮らしから得た気づきをヒントにそれぞれの“不確かさ”について考えた。

1つ目は私が住み始めて5年目になる東京のアパートのワンルームの小さな改修である。この部屋の中心に、4枚のカーテンと8つの窓で構成する楕円状の建築を設計した。
2つ目は愛媛にある築50年の祖母の家の和室2部屋の改修である。スタディを経て、既存の床下換気口3つを貫通する、長さ11mのコンクリートの塊を挿入した。
3つ目はタイにいる知人が暮らす、チャオプラヤ川のほとりに小屋を新築する計画である。水位とともに、断面計画が常に少しずつ変化する、定点としてのRC造の塔と、動点としての木造の浮小屋を設計した。

いずれも、そこで暮らす人や、訪れた人が、その時の、季節/天気/時間/人数/シチュエーションに応じて、その敷地で起こっている現象に能動的にピントを合わせ、自ら発見し、場を使いこなしていくことのできるものを目指した。

場が不確かだからこそ生まれるイレギュラーが、毎日の“小さな気づき”となり、いつもの何気ない生活をほんの少しだけ楽しくしてくれるのではないか。本設計を通して「思っているよりも、日常と非日常は近い距離にあるのかもしれない」と思えて、ほんの少し幸せになった。

作品イメージ

Profile

略歴

1998年 愛媛県生まれ

2020年 徳島大学理工学部理工学科社会基盤デザインコース卒業

2023年 早稲田大学芸術学校建築都市設計科修了

2025年 東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了