やたいのよるべ
- 氏名
- 若山新太郎
- 所属
- 筑波大学大学院
人間総合科学研究群 デザイン学学位プログラム - 研究室
- 加藤研研究室
- 作品概要
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高知の街にはある時間になると仮設屋台群が現れる。初めてそれを目にした時、都市が動き出したかのようなダイナミズムと様々な人々が自分の手で空間を作っていく率直な建築活動に感動を覚えた。開発によって、様々な都市が無くしてしまった人に近い都市がそこにはあった。しかし、これら高知の屋台群も存続の危機にあると知った私は、都市の中で漂流している屋台達の拠り所「よるべ」を作りたいと思った。対象の屋台群は「日曜市」と「おまちの屋台」である。日曜市は行政の管轄下にて認められている街路市、おまちの屋台は違法建築である。文献調査と実地調査により、日曜市には滞留の場、おまちの屋台には営業できる環境作りが必要だとわかった。それに伴い、屋台パーキングと屋台インフラという二つの提案をした。屋台パーキングは、日曜市が開市する道に面する立体駐車場に寄生するように建つ。駐車場という面積が必要であるものの交通のインフラに留まってしまっている空間を人のために開く提案である。新しく提案する屋台が車のように停まることで、屋台と人のためのインフラとして生まれ変わる。屋台インフラは屋台営業に必要な設備を宙に浮かべ、ピロティ下での営業を促す小さなインフラ建築として建つ。おまちの屋台の場の作り方を参考に作った可動部は、屋台が展開する補助線の役割を果たす。二つの建築は都市の中で小さく建ち、屋台の存在を支える、「やたいのよるべ」である。
Profile

略歴
2019 – 2022 筑波大学芸術専門学群
2022 – 筑波大学大学院人間総合科学学術院人間総合科学研究群デザイン学学位プログラム