廃土蘇生
-廃棄物の循環と共生する埋立地のリノベーション計画-- 氏名
- 炭村匠海
- 所属
- 千葉大学院
園芸学研究科 環境園芸学専攻 - 研究室
- 庭園デザイン研究室
- 作品概要
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東京23区の廃棄物の最終処分場である新海面最終処分場は、都市の拡張とともに埋立が進められてきた。しかし、処分場の残余年数は50年を切り、新たな候補地も未定のため、現在は埋立を積み上げる形で延命化が図られ、高さ30mの廃棄物の山が形成されているが、都心から遠く離れているため、その実態や課題は都民にとって見えにくい。本計画では、この処分場を単なる経済合理性に基づく埋立地ではなく、都市と廃棄の関係を可視化するメモリアルなランドスケープとして提案する。
埋立物・環境・生態系の関係性を分析し、浚渫土での埋立による自然公園の創出、廃棄物の積層による山の形成を軸に長期的な計画を構築する。埋立地の一部では浅瀬や干潟を保全・再生し、生態系を育む空間へと転換。一方、高さ30mの山が残るエリアでは、斜め積みの埋立方法を導入し、10年後には中心が除かれた70mの山が現れる。50年後、廃棄物ゼロが達成されると、巨大なヴォイドと130mの山が残り、埋立の歴史を刻むメモリアルとなる。
また、都市と廃棄の関係を体感するプロムナードを設け、橋の上から埋立物を運ぶ車両を見下ろし、坑道では廃棄物の断面を観察。頂上ではヴォイド越しに都市を望むことで、都市生活と廃棄の関係性を可視化する。50年後を見据えたこの計画は、埋立地を自然の再生と共生の場へと転換し、訪れる人々に都市と廃棄の関係を問いかけ、未来への視座を提供する空間を目指す。
Profile

略歴
2000年 神奈川県横浜市生まれ
2023年 近畿大学建築学部建築学科宮原研究室 卒業
2026年 千葉大学院園芸学研究科環境園芸学専攻庭園デザイン研究室修了予定