伝う建築
-遠野物語から解く現代の暮らしの構想-- 氏名
- 岩間小春
- 所属
- 千葉工業大学大学院
創造工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 今村創平研究室
- 作品概要
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岩手県遠野市周辺の山間盆地に伝わる説話や体験談が集められ、日本民俗学の出発点となった「遠野物語」。天狗や河童といった妖怪、馬などが登場する不思議な話が収められている。人を介して100年ほど語り継がれ、自身も祖父母の代から語り聞かせてもらった。しかし、親の代、自分の代が語ることはなく、自身が遠野物語を語り継ぐかつかないかの境目にいると感じる。しかし、今日の合理的なもののみを信じる風潮や不思議な体験の消失などから語り聞かせるという行為は微かなものとなり、街もまた現代的に変化してしまった。
本研究では、遠野物語をはじめとする民俗資料をもとに、原風景の復元、現代に調和する暮らしの再編によって、物語を伝承していくことを目的とした設計提案を行った。
遠野物語の発生には、狩猟採取や馬と共に物の運搬をしながら移動して生活していたように、人々の遊動が必要だった。改めて、暮らしの中に遊動性を作ることが原風景の復元に繋がる。そこで、馬に着目して、現代における馬の可能性を検討し、人と共に支え合う暮らしが遠野の地に循環と遊動を生み出していく。よって計画地は、馬が通りやすい道かつ山間集落と市街地を繋ぐ道上に、6つの敷地を選定した。
6つ「伝う建築」には、それぞれ遠野物語で語られる「現実と怪異が共存する風景や状況」を想起させる空間を設計し、これらを拠点として伝っていく過程、その風景との出会いが遠野物語を伝承していく。
Profile

略歴
2001年 岩手県遠野市生まれ
2023年 千葉工業大学 創造工学部 建築学科 卒業
2025年 千葉工業大学 創造工学研究科 建築学専攻 修了