集落の消滅、延命。

-富山県旧細入村を対象とした時間軸の建築的プロセス-
氏名
廣川史恩
所属
芝浦工業大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
小塙芳秀研究室
作品概要

舞台は、富山県富山市旧細入村。蛇行する川と背後の山々に隔てられ、点在し、国道と鉄道のインフラによって結ばれる9つの集落群である。そして、調査対象集落群は今後50年で消滅へと向かう。9つの限界集落群全域におけるインフラーランドスケープの調査から、その土地が衰退する根源的原因を示し、消滅可能性を孕む負の遺産に対して、『延命』を施すことを目指した建築的提案を行う。
 本設計は、日本最古の美術作品といわれる『九相図』により描写が為されている人間の死死---すなわち人の死を一瞬の出来事としてではなく、刻々と変化していくプロセスとして捉えた連作絵画---を発展させて、集落の死(消滅)を継続的なプロセスとして捉えることを試みた。そして、集落の主要機能が死滅して以降も依然として変化を続ける植生や土壌を足がかりにすれば集落の延命(或いは、そのための表現)が可能であるという思想を具現化したものである。
 本計画と設計を通して、土地の---未来---を---今---伝える建築的プロセスを考案した。土地の消滅に対する他者の興味本位,集落の人々の悲壮的観念に対して、各々が考えを享受するきっかけとなれば、『集落の消滅、延命』は真の意味を成すと考える。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 富山県富山市生まれ

2023年 芝浦工業大学 建築学部 建築学科 卒業

2025年 芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了