アジール跡地における無主物先占的空地の実態

-アジール転変|霞ヶ浦四十八津跡地を対象として-
氏名
大津 洋
所属
芝浦工業大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
西沢大良研究室
作品概要

アジール:無縁所や不可侵領域などの意味の言葉であり、中世、そこへ入ればあらゆる因縁や負債から逃れられる場として存在した。
 本作品ではアジール跡地の実態について調査し、それらの要素を抽出、解釈し、設計提案に繋げている。(調査編+設計編)
 調査編において、跡地には大きく2つの特徴があると結論づけた。1つ目が異質な植生群であり、跡地には原生といえる植生が無視できない面積を占めている。2つ目が私有財産化されていない無主物的によって先占された空地の存在である。(無主物先占的空地と称す)この空地内では自治的な空間利用や、特殊な利用用途が存在していた。
 これらの要素を図面に起こし、データシート化した。
 設計編では空地内で発生するこれらの自治的活動や現在行われている市民活動を基軸に現代コモンズを構想した。プログラムは集会、草刈りや漁業関係者が利用するための倉庫がメインとなる。加えて、国有地や法定外公共物を一部、敷地に含む(土地の等価交換を利用)ため、資材置き場や土嚢倉庫といった国有地の役割を一部補填する。
 設計では、過去アジールとして存在した根本的理由である排他的活動や現在の周辺環境から抽出した要素を、素材やボリューム等で表現している。現代には見られないアジール跡地ならではの存在感を放つ建築、空間になっている。
 霞ヶ浦の市民団体や行政、漁業組合が一堂に会しコモンズを形成し、空間を保全する計画である。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 東京都新宿区生まれ

2023年 芝浦工業大学 建築学部 建築学科UA コース 卒業

2025年 芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了