<自然な形>に関する研究
- 枯れ葉の丸まりに着目して -- 氏名
- 山村しほり
- 所属
- 工学院大学大学院
工学研究科 建築学専攻 - 研究室
- 藤木研究室
- 作品概要
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幼い頃、植物の茂みに潜り込み、小さな世界を見つけるのが好きだった。葉の隙間からこぼれる光、土の匂い、風に揺れる影。閉ざされているのに開かれた、不思議な居場所。私はその感覚をずっと覚えている。そして、いつしか「自然の中に潜り込みたい」と願うようになった。
こうした源体験から、「自然な形」に興味を持つようになった。自然界の形は、単なる装飾ではなく、環境との関係の中で必然的に生まれる。その中でも本研究では「枯れ葉の丸まり」に着目し、外的要因と素材特性の均衡が生み出す形のプロセスを探求した。
異なる熱膨張率を持つ素材を組み合わせ、加熱による形状変化を観察する実験を行い、素材の特性と外的な力の関係を検証。そこで得られた形を起点に、人工物でありながら自然物のように存在するものを目指し、スケールを超えた展開を試みた。小さな器や照明から、パーテーション、野外礼拝堂のような大きな空間へと拡張し、新たな建築のあり方を構想している。
特に、瞑想空間の設計では、空間のデザイン、敷地の選定、用途の検討の順序を辿り、形から始まる建築の在り方を模索。これは「設計する」のではなく、「生まれる」建築である。
本研究・設計は、人工物がどのように環境と一体化し、新たな空間を生み出せるかを探る試みであり、単なる形の模倣ではなく、自然の形成プロセスを抽象化し、デザインへと発展させるアプローチである。
Profile

略歴
2000年 神奈川県横浜市生まれ
2023年 工学院大学 建築学部 建築デザイン学科 卒業
2025年 工学院大学大学院 工学研究科 建築学専攻 修了