環境から導く建築

− 風路を纏う −
氏名
圓谷桃介
所属
工学院大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
伊藤研究室
作品概要

私は集落の建築に惹かれる。それは建築単体を見るだけでも、その姿、立ち振る舞いから、荘厳な周辺環境を想起させられたり、モノが携えるコンテクストの壮大な拡がりを感じさせるからである。一方で現代において我々をとりまく環境は純粋な自然だけから構築されていない。ここには、人間が意図的に作り出した環境と、それに伴い不本意に生んでいる環境が存在する。後者は我々が室外機をバルコニーの端に追いやるように、恒常的に使い捨てにすることが前提とされている。これをイギリスの環境哲学者であるティモシー・モートンは「ダークエコロジー」と呼んでいる。自然を先天的な環境であるとすると、これは後天的なものの漂いで、ダークエコロジーの存在はあらゆるスケールを横断する中で、人類の成長と共に肥大化し続け、水面下の内に我々の生活を取り巻いてきた。このような環境背景から、私は後天的な環境と共生し得る建築の在り方の提案に至り、その設計を行う上で集落の設えについて研究を行なった。論文から結論づけられたことは、彼らの建築が環境と対峙する中で最も明確な対話が生まれる建築エレメントのひとつに、共通して屋根形式があったことである。その学びを踏襲し、制作では都市における風環境、主に外気に負荷を及ぼす室外機に着目する中で、環境的悪条件に見舞われる街に新たな旋風を巻き起こす環境拠点となる、3種の“抗生空間”からなる建築を提案する。

作品イメージ

Profile

略歴

東京都三鷹市に生まれ育つ。
趣味は珍奇植物の栽培とフィルムカメラ。