「時間」と「環境」のメディア

−「擁壁」に建築的な可能性を見出す坂の街における新しい公共空間−
氏名
田﨑太一
所属
関東学院大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
柳澤潤研究室
作品概要

擁壁はそこで暮らす人々の生活レベルやコミュニティの希薄ささえも可視化し、かつての生態系や風景までも消していった、“地形のキズ”のようなものだと私は思う。
このキズが、100年後は私たちが暮らす街に張り巡らされてしまうのではないか、という不安に端を発し、その地に流れる「時間」と擁壁が生み出す「環境」によって、これまでの建売的な建ち方ではない、人と人、人工物と動植物との間に多様なネットワークを構築する骨格となるもの、と擁壁を位置付け、坂のまちにおける新たな公共空間の創出を試みた。計画としては、「年齢」や「性格」の異なる人や動物や植物といった多様な他者と相関関係を築き、「多様な他者の総体としてできる環境」が、公共空間の一役を担うと考え、高齢者とアーティストが共同で暮らす建築に、地域の人や子供達もそこで過ごせるような福祉施設の提案を行った。既存の地形が持つ急激な高低差を解消するように細分化した擁壁に、擁壁を跨ぐように屋根をかけ、敷地の境界を越えてプログラムが拡張することで、光や擁壁や土木と建築が混在するような新しい環境を提案した。擁壁が環境に応じて、棚だったり、展示スペースだったり、石垣だったり、花壇だったりと様々なプログラムを誘発する要因となり、擁壁と人々に新しい関係が生まれることで、従来の建築プログラムを超えた豊かさを獲得することを目指した。

作品イメージ

Profile

略歴

2000年 埼玉県川越市生まれ

2022年 関東学院大学 建築・環境学部 卒業

2024年 関東学院大学大学院 工学研究科建築学専攻 修了