第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

宮古港ツーリズム

防潮堤と共に暮らす漁師町の再生
氏名
舘洞遼人
所属
日本工業大学大学院
工学研究科 建築デザイン学専攻
研究室
竹内宏俊研究室
作品概要

日本における震災の歴史は古く、数多くの被害の記録が残されている。最近では東日本大地震が記憶に新しい。その被害を受け、東北地方沿岸部に合計約395kmにおよぶ巨大防潮堤がつくられた。防潮堤は周辺を津波の脅威から守るための役割を持つ一方で、漁港エリアと居住エリアを分断してしまった。それにより、漁業の生業と暮らしとの密接な関係に距離が生じた。そこで、岩手県にある宮古港を計画地として、防潮堤にツーリストルートとしての役割を持たせるとともに、漁港としての生業や暮らしの側面を付加させることで、防潮堤とともに暮らす漁師町のかたちを提案する。
本計画では、道の駅から観光地である浄土ヶ浜への通り道にある防潮堤にツーリストルートを計画することで、観光客や地元住民が漁港としての生業を身近に体感しながらの散策を可能とした。それは、ユニット化された木組みの連続で構成される。ツーリストルートには遊歩道のほか、サイクリングロードや各所に休憩所・展望デッキ・駐輪場を配置し、宮古港への眺望を楽しみながら移動できる。また、バス停を半屋内空間として取込み、地域住民の交流の場とした。復興後、行き場を失った漁師小屋・漁具置場を各所に配置し、宮古港全域を通して漁港としての生業を視覚化する。以上を防潮堤の新しい役割として付加させることで防潮堤を中心に活動が広がり、地元住民や観光客と共につくりあげる新たな漁師町のかたちとして提案する。

作品イメージ

Profile

略歴

1998年 岩手県生まれ

2021年 日本工業大学 工学部 建築学科 卒業

2023年 日本工業大学大学院 工学研究科 建築デザイン学専攻 修了