第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

風路地

- 路地の形態と行動の分析、および、風況解析に基づく京成曳舟駅前広場のデザイン -
氏名
藁谷百合香
所属
千葉大学大学院
園芸学研究科 環境園芸学専攻
研究室
庭園デザイン学研究室
作品概要

本制作は、疎まれがちな都市の風を風景や空間の体験を彩る要素として位置付け直すことで、開発により失われつつある下町らしさの風景をアップデートすることを目指す駅前デザインである。
下町の高層ビルを伴う再開発地域は二つの課題を抱える。風は、昔から魅力ある自然として親しまれてきた。しかし高層建築物を建てられる世界になってから、再開発地域にビル風という都市特有の自然が生まれ疎まれることが多くなった。下町においても近年の駅前再開発により、より便利に安全になって来ている一方で、下町らしい距離の近さや高密度な風景を持っていた駅前が、どの駅前とも変わらない均質的な空間となっていくことに、私は疑問を感じる。そこで、風を活かし下町の培ってきたものを継承していくため、対象敷地の風況解析及び路地での活動と形態の抽出をした。そして、路地のオープンスペースの利用方法を活用し、駅前空間に滞在と移動の混在する「風路地」を設計した。路地性を作り出す要素を町の要素と風とすることで、風が風景化される一人分のパーソナルな居場所が多数生まれる。商工住学の町だからこそ距離の近い風路地の日常やイベント利用で徐々に地域のつながりが再開発地と既存木密地域に広げていく。個人住宅に囲われた路地ではなく、再開発地域のオープンスペースが住民に使いこなされる場を担うことで、地域らしさを継承しながら風による新たな下町風景をつくる。

作品イメージ

Profile

略歴

1997年 東京都生まれ

2021年 千葉大学 園芸学部 緑地環境学科 卒業

2023年 千葉大学大学院 園芸学研究科 環境園芸学専攻 修了