第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

ちょっと動かしたくなる建築

- 場所をつくり育てるサーキュラー・デザイン -
氏名
酒井洵挙
所属
千葉工業大学大学院
創造工学研究科 建築学専攻
研究室
石原健也研究室
作品概要

つくること、使うこと、さらには生きることが一体的で享楽的でさえある人間と建築のあり様を活写したバーナード・ルドフスキーの思想が抑圧的な現代建築を変革する可能性を持つとの気づきから現代の「建築家なしの建築」を探索した結果、温泉街の河岸崖地に建つ鉄骨人工地盤下部の余剰空間を発見した。そこでは使用者が、容易に手に入る材料を使い自由に増改築を行なって快適な場を作り出していた。その観察から、躯体がつくり出す余剰空間、多様な資材の再利用、簡易な部材接合方法の3つを建築の存在条件として抽出した。
これらの観察と分析をもとに本研究は、空き家解体材の集積再利用を行う「リビルディングセンター」と協同し、子ども達とのワークショップを介して「児童館をつくり育てること」の可能性を探究している。
提案は横浜市保土ヶ谷区の街区公園に隣接する斜面緑地を計画地とし、既存樹林の中に浮かぶように最小限の集会・管理機能を建設、隣接して区内の解体現場から搬入される資材の受入保管機能を設けた。次に鉄骨フレームが作りだす余剰空間を敷地として、リユース材によって段階的に増殖していく遊び空間を設計した。使用者である子ども達の発想を生かした児童館として、改変を加えながら常に、自由で楽しいプログラムへと更新されていく柔軟な建築の姿を描いた。

作品イメージ

Profile

略歴

1998年 栃木県生まれ

2021年 千葉工業大学 創造工学部 建築学科 卒業

2023年 千葉工業大学大学院 創造工学研究科 建築学専攻 修了