第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

取り残された住宅の再利用方法

- 歴史、私史インテンションによる手法を用いて -
氏名
吉本有佑
所属
芝浦工業大学大学院
理工学研究科 建築学専攻
研究室
建築・住環境計画研究室(郷田研究室)
作品概要

日本は縮小社会に突入し空き家が増え続ける中、私の祖母が暮らしてきた住宅(たかの家)も例外ではなかった。
上記の空き家化により住宅の再利用事例が多く見られるが、その大半が再利用以前の建物と何の関わりも持たないか、あるいは単に価値を踏襲しているかであった。しかし、私は住宅の再利用において住宅内に潜む先人たちの意図や意思を読み解き、それを未来へ継承することが重要であると考えた。
そのような思考のもと、本計画では再利用の新たなリソース「インテンション」を提示した。インテンションとは先人たちの意図や意思が込められた、先行している状況のことを指す。例えば、「涼しいから、ここで遊んでいた」など先人たちの暮らしの痕跡である。そして、インテンションによる住宅の再利用方法とは、ある人が生み出したインテンションに対して設計者が新たに意図を加えることであると定義した。

こうした本計画の舞台は空き家状態が続いている「たかの家」である。
たかの家に見ることができるインテンションを地域の文献や親族からの見聞などの調査をもとに抽出し、それらのインテンション一つ一つに対して丁寧に適切な手法を用いて、たかの家の再利用を行った。
インテンションを用いて再利用された「たかの家」は先人たちの意思や意図などを受け継ぎ、それらを将来に託すことができた。将来誰かが、この意思や意図を再び引き継ぎ「たかの家」を再利用してくれることを願う。

作品イメージ

Profile

略歴

1998年 大阪府吹田市生まれ

2021年 芝浦工業大学 建築学部 建築学科 卒業

2023年 芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了