第21回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展 2023

開拓される鉄道土木

- 民芸的工法に基づく「関わりしろ」を持つ廃線跡地の建築提案 -
氏名
嶋谷勇希
所属
神奈川大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
六角研究室
作品概要

日本の地方鉄道は近年利用者が減少しており、今後廃線跡地が増加すると考えられる。これをまちづくりにおける余白として捉え、積極的に利活用する方法を考える。対象地域は全国で最も廃線跡地の総延長距離が長い北海道の置戸町で行う。この町は2006年に鉄道が廃線となり、それ以来中心部に鉄道土木が残されている町である。まちづくりのあり方として、民家の研究から一般の人々が可能な素材利用と工法のあり方を調べ、対象地域の民芸的建築の「建築的振る舞い」を抽出し、この町の人々が可能な建築行為を可視化する。また、その行為を調整するために、廃線前の鉄道がこの地域を走行していた際の景色を遠景、中景、近景の3つに分け、それぞれの角度を調べ「車窓風景の軸」として設計に応用する。提案としては廃線跡地に対して地域住民が主体的に建築行為を行い建てることができる「関わりしろ」を持つ建築を提案する。鉄道土木上に「関わりしろ」による建築と、それを支えるための鉄骨フレームの構成によって廃線跡地を開拓していく。「関わりしろ」の建築は、材料として一般住民が運搬可能な重さとなるように計画する。また、プログラムとしては廃線跡地が断面的にさまざまな施設と関係を持ちながら、町の財産となるようなプログラムを提案していく。約2kmに対して8つの工法パターンを提案し、住民の主体性を守りながら町のパブリックスペースとして開拓されていく鉄道土木を提案する。

作品イメージ

Profile

略歴

1999 神奈川県藤沢市生まれの北海道置戸町育ち

2021 神奈川大学 工学部 建築学科 卒業

2023 神奈川大学大学院 工学研究科 建築学専攻 六角研究室 修了