Gallery作品詳細

准胝塔
- 密教における塔建築の再考 -

氏名
高木 駿輔
所属
東京都市大学大学院
総合理工研究科 建築都市専攻
研究室
手塚研究室
作品概要

落雷によって焼失した真言密教寺院、上醍醐寺准胝堂を再建する。再建といっても昔の形のまま再建するわけではない。
密教の教えや歴史から、現代における密教の五重塔を設計する。

敷地は醍醐寺である。醍醐寺は西側の山の麓にある下醍醐寺と東側の山の上に建つ上醍醐寺の二つがある。
両寺院は2キロほど離れており山を介して徒歩1時間ほどの距離がある。
上醍醐寺が聖宝によって建立され、のちに下醍醐寺の堂塔伽藍が確立されて以降、上醍醐寺へ修行へ行く僧侶は激減した。今ではこの両寺院の関係性は非常に希薄である。

そこで、上醍醐寺准胝堂跡地に下醍醐寺五重塔との関係性を深く結びつける新たな五重塔を設計した。
この五重塔は従来の五重塔とは異なり、出来る限り小断面の木を用いる。醍醐山から伐採した神聖な木を一つ一つ丁寧かつ繊細に山の高さを超えないよう30mの高さまで組み上げる。
構造的には数々の地震を耐え抜いてきた歴史の深い五重塔と原理は同じである。無数の相持ち部材によって地震エネルギーを急速に減衰させる。
これまでの五重塔とは異なり、大日如来の似姿とする心柱、相輪、仏像、壁画などは一切排除した。
これは醍醐山に対しての敬意の表れでもあり、塔内部の中心の虚空こそが、姿形の無い大日如来の表しである。

上醍醐寺に建つこの新たな五重塔「准胝塔」は、下醍醐寺五重塔との関係性を深く結びつけ、密教と醍醐寺に新たな威光を与える。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1995年
    神奈川県座間市出身
    2018年
    東京都市大学 工学部 建築学科(手塚研究室) 卒業
    2020年
    東京都市大学大学院 総合理工研究科(手塚研究室) 修了
    現在
    株式会社安井建築設計事務所 勤務
    受賞歴
    2016年
    第1回ウッドフレンズ学生住宅コンペ ユーザー賞
    2018年
    東京都市大学卒業設計学内講評 能作淳平賞
    東京都市大学卒業設計学内講評優秀賞
    第27回JIA東京都学生卒業設計コンクール 手塚由比賞
    鶴川駅コンペ駅空間周辺部門 優秀賞
    2020年
    東京都市大学大学院修士設計学内講評 高松伸賞