Gallery作品詳細

土着的水害復興

氏名
古渡 大
所属
東洋大学大学院
福祉社会デザイン研究科 人間環境デザイン専攻
研究室
櫻井義夫研究室
作品概要

 2015年の関東・東北豪雨による河川の決壊で茨城県常総市は、市域の約3分の1が浸水しました。30年に1度の頻度で河川の氾濫が起こるこの地域では、人生で3回、水害を経験することを意味します。世代交代を機に訪れる水害とその復興行為から、この地域ならではの設計手法を考え、常総市で建築とともに生きてゆく方法を後世に受け継ぐ必要があると私は考えました。そこで、水害によって放置された空き家の1つを自分たちの手で1年間かけて改修・再生し、自力での復興を経験しました。その経緯の中で、建築各部の問題点や改善方法をスケッチで 記録しました。この提案は、それらを設計手法として建築に応用したものです。

 水害の家屋にもたらす結論は、泥土の残留、床上浸水による床面の損傷、屋内緊急避難場所の確保、水が残す様々な残留残存物など、様々な影響を残しながら改修へのヒントを与えてくれています。損害が対策の形を導き、建築形態を与えるきっかけとなれば、地域の自然と歴史に根ざした建築形態になると考えました。記録したスケッチは、復興系、被災・減災系、施工性系、避難系、設備系、がれき再利用系の6通りに分類し、復興・構築への手がかりとしました。具体的には、これまで歴史的に継承されてきた屋根裏に船を格納する対策や、水が引き際に残す泥土の洗い流しを促進する基礎の形態、がれきの集合体がみせる地域の材料特性と雑多な生活小物の集合体が創り出す断片的な資材の組み合わせなどが建築形態を成しています。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1994年
    茨城県生まれ
    2017年
    東洋大学ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科 卒業
    2019年
    東洋大学大学院 福祉社会デザイン研究科 人間環境デザイン専攻 修了