Gallery作品詳細

森林資源を循環させるための建築 作品「森のラボラトリー」

氏名
原田 多鶴
所属
筑波大学大学院
人間総合科学研究科 芸術専攻
研究室
建築デザイン 貝島桃代研究室
作品概要

 現在の日本の森林は、大量の樹木を蓄え伐採と更新の需要が高まっている。第二次大戦後に一斉に建築用材林が植えられたことにより、現在の人工林の大半は1950年代に植樹された針葉樹であり、樹木の多くは利用されずに成長を続け、現在の森は大径木が取れるほどに成長している。

 本書では、「循環」を「森林資源を循環利用すること」と定義し、地域の人が介在することによって資源の循環を促すことを目的とする。茨城県石岡市八郷の森林を対象地として植生調査と地域の活動に着目し森林の利用調査を行う。丸太は形状が不均一で利用が困難である一方で、製材に比べ原料のまま利用できるため歩留まりがよく加工負荷が少ない。そこで、文献調査および現地調査により地域の人が建築の工程へ介入しやすいような丸太の構法調査を行う。本計画では、非流通材を活かして地域の活動の場を作ることを目的とした。森にある木を敷地外に移動し製材するのではなく、丸太のまま利用することで、流通の規格から外れる樹木を使い切りながら森を整備する。八郷の森林資源を実態的に捉えることを通して、地域に根ざした建築デザイン手法の試みを作品として提示した。このことは、建築をつくることが森林資源を活用することそのものであり、建築デザインはその利用を広く空間的に共有するための社会的媒介となりうると考える。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    2015年
    筑波大学 芸術専門学群 卒業
    2017年
    École nationale supérieure d'arts et métiers 修了
    2019年
    筑波大学大学院 人間総合科学研究科 芸術専攻 修了