Gallery作品詳細

視覚障がい者の空間認知を踏まえた空間構成手法の研究及び設計提案

氏名
桝田 祥子
所属
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科 建築学域
研究室
小泉雅生研究室
作品概要

 視覚障がい者は、視覚情報に限らず聴覚や触覚、嗅覚等の身体感覚を晴眼者より一層駆使して空間を認識している。しかし、視覚障がい者への建築や都市における配慮は点字ブロックや手すりの設置等の最低限の対処にとどまっている。そこで、視覚障がい者が駆使している感覚の刺激を活用した空間認知を建築設計に活用することで空間の多様性や豊かさを創り出すことができると考えた。

 本設計では、ヒアリング調査や施設調査等を行い明らかになった視覚障がい者の空間認知を補助する空間構成手法を用いて2つの美術館の設計を行った。

 設計提案1では、小規模でシンプルな平面構成でありながら豊かな空間認知をうながす建築操作を施した美術館をコンセプトにした。建築操作は段差、窓の形態変化、光の誘導等を採用した。

 設計提案2では、シンプルな平面構成ではなくとも建築操作によって空間認知を補助する美術館をコンセプトにした。各展示室や動線の天井高さ・形態の変化による反響音の変化、素材変化、傾斜、光・流水音の誘導、芳香植物を植えた中庭の配置等の建築操作を施し晴眼者にとっても豊かな空間体験となる美術館を設計した。

 2つの美術館は、晴眼者が美術品を鑑賞した感想を視覚障がい者が聞きながら鑑賞することで、双方の想像力と対話を楽しむ美術館とする。

 本設計にて晴眼者と視覚障がい者の共存のための有効な設計手法を提示した。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1994年
    兵庫県生まれ
    2017年
    東海大学建築学科 卒業
    2019年
    首都大学東京大学院 建築学域 修了