Gallery作品詳細

暗渠が生む特殊な都市歩行領域の研究
- 河川の暗渠化に伴う東京の変遷と実態調査を通して -

氏名
小濱 祐里子
所属
芝浦工業大学大学院
理工学研究科 建設工学専攻
研究室
西沢大良研究室
作品概要

 都市には街の成り立ちや変遷を表す痕跡が数多く存在する。その中でも著しい発展を遂げた東京では江戸期に行われた水系改造を筆頭に複数の事業が行われ、河川と人々の生活を支えた痕跡として暗渠が残された。36答申をはじめとする下水道化協議のなされた河川は、他河川と比較して都市計画・建築計画への影響が大きい。自然物である河川が生む蛇行や分岐といった特徴的な形状が残る歩行領域を規定・抽出し、定量分析を行った。その結果車両が進入できない歩行領域は二次的に歩行路の発生を誘発し、歩行領域は拡大することが予測できた。渋谷区西原に位置する歩行領域を選出し、提案対象敷地は領域内の河骨川暗渠と宇田川暗渠の合流地点に設ける。周辺では個人経営の小規模な小売店やクリニック、事務所などが増えている現状から、共用オフィスやキッチン、オフィス付き住戸を含む複合施設を提案する。周辺に存在する歩行路や車両進入可道路を敷地内に延長させ、外部階段とすることで建物内に人の流れを引き込む。ボリュームに巻きつく歩行路は河川のように合流や分岐を経て上階へ登っていく。その中継地点には踊り場という共用外部空間が随所に存在し、人々の憩いの場となる。かつての水網のように都市に張り巡る歩行路は都心の集中的な道路網に紛れており、決して目立つ存在ではない。開渠として使われた時代とは形を変え、別の存在価値を見出しながら人々の暮らしに関わり続けるだろう。

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作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1994年
    東京都生まれ
    2017年
    芝浦工業大学 工学部建築工学科 卒業
    2019年
    芝浦工業大学大学院 理工学研究科 建設工学専攻 修了