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しきりによるまちのリノベーション -建具・障屏具による境界の再構築-

氏名
高藤 万葉
所属
日本女子大学大学院
家政学研究科 住居学専攻
研究室
篠原聡子研究室
作品概要

 日本の伝統的な建築は、目的に応じて障屏具や建具により空間が仕切られていた。明治以降の近代化に伴い、障屏具や建具などのしきりは、壁へと変化した。内と内のしきりの減少により、人々の活動が分離され、内と外のしきりの減少により、まちなみが変化した。使われなくなったしきりの良さを再認識し、新しい可能性について提案する。
 しきりの種類を調べると、それぞれのしきりは、位置、物理的機能、意味の異なる3つの要素が存在し、その組み合わせには同じものがないことがわかる。しきりは時代によって使われ方や意匠が変化することから、意識の変容を表象するものであることがわかった。
 敷地は江東区木場とする。かつて木場は木材のまちとして栄え、人々は水運や木遣りなど水辺空間と共生して暮らしていた。近代化により経済的に豊かになったが、閉じた壁が点在する殺風景なまちへと変化してしまった。閉じた壁を利用し、建具や障屏具による境界の再構築を行う。
 閉じた壁面に、木造の軸組としきりにより構成されるレイヤーを増設する。建物と外部環境、人々の活動などが切り離されていたが、しきりの柔らかな境界を設けることで、関係性が再構築されていく。しきりは、外部環境や、内部の機能により決定されるが、季節や出来事に応じてフレキシブルに変化する。木場の賑わいが広がり始めると、しきりのレイヤーも広がり、新たな木場のまちなみをつくる。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    1994年
    東京都出身
    2016年
    日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業
    2018年
    日本女子大学大学院 家政学研究科 住居学専攻 修了