PROJECTS DETAIL
作品詳細

両義的な空間 - 平面構成からみる建築設計の提案 -

氏名
石黒 彩乃
所属
千葉工業大学大学院 工学研究科
建築都市環境学専攻
研究室
遠藤政樹研究室
作品概要

本研究は、複合化する公共施設の機能を緩やかに繋ぐ方法を、平面構成によって見出すものである。
プログラムが複雑である公共施設では、あらゆる市民が親しみを持って施設を利用可能とするために、部屋と部屋のつながりと快適性は極めて重要な条件である。それを実現するために本研究が注目したのは、1950年代におけるオランダ構造主義の両義的空間概念及びその実践である。両義的な空間とは、空間が対照的でありながら、開—閉など相互補完な関係のある空間をいう。その手法の設計研究である。
本研究は、オランダ構造主義の作品を中心とした作品事例の調査からはじめ、単純な空間モデルの重ね合わせによる複合でも、その方法によって、両義的な空間の構築は可能という結論を得た。それを具体的な敷地で実践するものである。

敷地は北海道函館市南芽部地区である。最近、縄文時代集落の遺跡発掘で注目されている。一方、財政難のため近接する5つの町の段階的な合併が繰り返され、5つの町の公共施設が集約されることが既に検討されている。本研究では、地区の中心となる図書館を含む市民センターを縄文博物館と併置した計画である。
両義的空間は、本研究が提案しているふたつの平面構成によって実践されている。L字型ユニット壁とL字壁とずれた天井ユニットによる平面構成である。L字型ユニット壁は博物館来館者の導入する展示壁であり、接する市民センターと緩やかに隔てるものである。市民センターの機能は、天井ユニットによって平面的に領域化されている。このふたつの平面構成は、流動的でありながら利用者にとって判りやすい空間を可能にするものである。

 

プロフィール

1990年
北海道出身
2009年
北海道函館工業高等学校 卒業
2013年
千葉工業大学 工学部
建築都市環境学科 卒業
2015年
同大学大学院 工学研究科
建築都市環境学専攻
遠藤政樹研究室所属 修了